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医師・医療関係者のみなさまへ

第28回布施緩和ケア研修会

府医ニュース

2022年6月1日 第3002号

「その方らしく、穏やかに」を支える緩和ケア

 布施医師会(松山浩吉会長)は5月7日夕刻に第28回布施緩和ケア研修会をオンラインで開催。医師をはじめ看護師や介護従事者など266人が参加した。
 当日は、川邉正和氏(同医師会理事)と福村雄一氏(東大阪プロジェクト代表/司法書士)が司会を務め進行。開会あいさつで柏井朗氏(同医師会副会長)は、日本は超高齢社会を迎え、今後、多死社会となっていくと述べた。特に大都市圏では独居高齢者が増加すると見通し、医師会としてコロナに最善の注意を払いつつ、医療・介護連携事業の推進、地域包括ケアシステムの構築を進めていきたいと力を込めた。
 はじめに基調講演として中村明澄氏(向日葵クリニック院長/千葉県)が「地域緩和ケア――その方らしく、穏やかに」と題して講演。中村氏は、患者が穏やかに過ごすためには、「つらさ」を明らかにすることが重要として、このアセスメントができればおのずと解決方法が見いだせると述べた。その上で、自身の在宅医療の経験から、「ずっと痛い」との患者の訴えが1日1回程度の突出痛であったり、麻痺で動かないことを「痛い」と表現している場合もあるとして、患者の訴えを鵜呑みにせず、一歩掘り下げて話をよく聞くことが肝要であると示した。さらに、人生会議(ACP)の重要性について強調。一般的にまだ浸透していないことを憂慮しつつ、「自身の価値観を知って共有する」ために、自身の取り扱い説明書を作成することも一案だと加えた。最後に、「その方らしく、穏やかに」過ごすため、アセスメント・コミュニケーション・チーム力で患者を支えていきたいと語った。
 引き続き、「生活を支える支援を知る――地域包括、医師会、行政と共に協力できる支援」としてシンポジウムが実施され、本めぐみ氏(地域包括支援センターレーベンズポルト)、坂東亞衣子氏(東大阪市福祉部高齢介護室地域包括ケア推進課)、松家まゆみ氏(越谷市医師会/医療と介護の連携窓口在宅医療連携コーディネーター)がそれぞれ講演をした後、参加者を交えて意見交換を行った。