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IRと住民投票

府医ニュース

2022年6月1日 第3002号

 大阪府と大阪市が人工島・夢洲に誘致を進めていたIR(統合型リゾート)構想である。「年間来場者は約2千万人、経済波及効果は約1兆1400億円(年間・近畿圏)、年間売上は5200億円(うちカジノが4200億円)」と見込んだ「区域整備計画」が今年3月に「大阪維新の会」と「公明党」の賛成多数で府議会・市会いずれでも可決され、4月、国に提出された。今秋に国の認可が降りれば、後は2029年開業に向けてひた走るだけだ。
 この夢洲IR構想については、発表当初から住民の強い懸念や反対があった。しかし住民説明会や定例会見で質問されても、府知事も市長も決して誠実とは言えない説明に終始した。「違うんですよ! IRに公金、投入しません!」「みなさんの税金はIR・カジノには一切使いません!」(大阪市長)「よくこれ、勘違いされるんですけど、IRは民設民営事業ですから、公でお金を出すものではありません」(大阪府知事)といった説明映像は記憶にも新しい。だが2月、突然、大阪市は「万博跡地の整備費用として788億円が必要」という試算を発表。大阪市長は一転して「土壌改良は土地所有者である我々の責任である」とした。大阪市の試算はその後、追加され2697億円に膨れ上がり、黒字化は54年後、2076年以降であるとした。
 「カジノの是非は府民が決める・住民投票をもとめる会」の署名活動では、法定筆数を超える15万7716筆が集まった。国は黙過してはならない。(猫)