TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

新年のごあいさつ

大阪府医師会 副会長  中尾 正俊

府医ニュース

2022年1月5日 第2987号

三位一体改革と地域包括ケアに注力する一年に

 明けましておめでとうございます。会員の皆様方には、ご家族とともに健やかに新年を迎えられたこととお慶び申し上げます。
 さて、昨年は、新型コロナウイルス感染患者の入院治療のほか、各医療機関におけるワクチン接種や発熱患者対応などのご協力もあり、第4波・第5波の医療逼迫の事態を乗り越えることができたことに深く感謝申し上げる次第です。
 我が国において一例目の新型コロナ患者が確認されたのは、令和2年1月15日のことです。同年2月1日、新型コロナは感染症法に基づく指定感染症(2類相当)と位置付けられ、大阪府では、特定・第一種・第二種感染症指定医療機関6施設(88床)が感染者を受け入れることになりましたが、感染者数が増え、あっという間に医療体制が逼迫してしまいました。
 そもそも我が国の医療は、地域全体で各医療機関が相互に連携しながら行う「地域完結型医療」の理念の下で成り立ってきました。しかし、感染症指定医療機関は感染症法に基づいて整備されてきたので、地域医療に根付いた医療提供体制とは言えず、感染症医療は一部の専門医療機関が担うことになっていました。その結果、重症者数が急増した時に、指定医療機関以外の医療機関において入院医療を確保するという体制転換に多くの時間を要しました。
 国は、今後の中長期的な高齢化や人口減少の見通しに変化がない中では、病床の必要量の推計など基本的な枠組みを維持しつつ、着実に地域医療構想の実現に向けた取り組みを進めていくとしています。しかし、新型コロナの対応の経験を踏まえ、平時から感染拡大時に対応可能な医療機関・病床の確保など有事に備えた医療提供体制を検討し、急性期病床の削減を主としたこれまでの地域医療構想の議論も見直さなければなりません。
 最後になりますが、医療を取り巻く環境は、ますます厳しくなっていくことが予想されます。三位一体改革(地域医療構想・働き方改革・偏在対策)と地域包括ケアの深化・推進に向け、執行部一同会務に励んで参りますので、会員諸兄の更なるご支援とご指導を賜りますよう心よりお願い申し上げ、新年のごあいさつとさせていただきます。