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医師・医療関係者のみなさまへ

小児在宅医療研修会

府医ニュース

2021年12月29日 第2986号

重症児者の消化器疾患を解説

 大阪府医師会は11月2日午後、令和3年度第2回小児在宅医療研修会をオンラインで開催した。3年度の本研修会は、「重症心身障害児の生涯支援」について4回シリーズで実施。今回は「消化器問題とその支援」をテーマに取り上げ、医師・医療従事者ら85人が参加した。
 冒頭、前川たかし理事があいさつ。日頃から在宅医療に携わる医師・医療従事者の活動に謝意を表すとともに、本研修会が重症心身障害児者を支える活動の一助になればと期待を寄せた。また、位田忍氏(大阪母子医療センター臨床検査科主任部長)が「この講義のねらい」として、重心児者の生涯支援に向けた「皆で支える仕組みづくり」の重要性を説いた。
 続いて、4題の講演が行われた。はじめに、塩川智司氏(四天王寺和らぎ苑施設長)が「重症心身障害児にみられる消化器系の諸問題」と題して、▽腸管運動障害▽上腸間膜動脈症候群▽胃食道逆流症――などの治療法を解説。日常診療において原疾患の違いは問題ではなく、「病態の理解と対策が重要」と述べた。
 次に、位田氏が「重症心身障害児の栄養管理」について説明。重心児者の栄養管理は、必要熱量や欠乏症・過剰症に注意を払う必要がある上、「標準的な管理法はない」として、健康やQOLの維持には個別の対応が求められるとした。
 引き続き、片山珠美氏(大阪発達総合療育センター小児科)が「嚥下機能評価の実際」と題して、嚥下のメカニズムや適切な食事形態などを詳説。食事は、安全な摂取への配慮が必要であるとともに、コミュニケーション等を通じて「重心児者の成長を促すことのできる大切な機会」とまとめた。
 最後に、塩川氏が「経管栄養カテーテルの管理」をテーマに講演。経鼻胃管や胃瘻を行う際の手順や留意点について、映像を交えながら詳述した。