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時の話題

医師の働き方改革

府医ニュース

2021年12月29日 第2986号

まずは勤務実態の把握から

 医師の働き方改革については、これまで「医師の働き方改革に関する検討会」「医師の働き方改革の推進に関する検討会」において協議され、今年5月の「良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律」が成立した。令和6年4月から医師に対する時間外・休日労働の上限規制が適用されることになる。
 適用開始に向けて、▽勤務する医師が長時間労働となる医療機関における医師労働時間短縮計画の作成▽地域医療の確保や集中的な研修実施の観点から、やむを得ず高い上限時間を適用する医療機関を都道府県知事が指定する制度の創設▽当該医療機関における健康確保措置(面接指導、連続勤務時間制限、勤務間インターバル規制等)の実施――などの措置が講じられる。
 医療機関は、機能別に時間外労働の上限規制が行われることになり、A水準(一般労働者と同程度)は年960時間、連携B水準(医師を派遣する病院)、B水準(救急医療等)、C―1水準(臨床・専門研修)、C―2水準(高度技能の修得研修)については1860時間とされる。また、追加的健康確保措置として、始業から24時間以内に9時間の連続した休息時間の確保を基本とし、宿日直許可のない宿日直に従事させる場合は、始業から46時間以内に18時間の連続した休息時間を確保する。
 ただし、宿日直許可のある宿日直に連続して9時間以上従事する場合は、9時間の連続した休息時間が確保されたとみなす。また、代償休息を付与することを前提として勤務シフト等を組むことは、原則として認められない。代償休息の基本ルールとしては、予定された9時間または18時間の連続した休息時間中にやむを得ない理由により発生した労働に従事した場合は、当該労働時間に相当する時間の代償休息を翌月末までに付与する。
 これらのことはA水準の医師は努力義務、その他は義務となる。ただし、C―1水準(臨床研修医)については、始業から48時間以内に24時間の連続した休息時間を確保する(臨床研修の必要性から、指導医の勤務に合わせた24時間の連続勤務とする必要がある場合)とされる。更に代償休息の必要がないように勤務間インターバルの確保の徹底を原則とする。
 なお、宿日直許可のある宿日直に連続して9時間以上従事する場合は、9時間の連続した休息時間が確保されたものとみなし、その場合に通常の勤務時間と同態様の労働が発生し十分な睡眠が確保できなかった場合、管理者は当該労働時間に相当する時間の休息を事後的に付与する配慮義務を負うとされている。
 まずは副業・兼業先の労働時間を把握する仕組みを設け、これに基づいて連続勤務時間制限および勤務間インターバルを遵守できるような勤務計画を作成することが、医療機関(使用者)に求められている。