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医師・医療関係者のみなさまへ

都道府県医師会医師の働き方改革担当理事連絡協議会

府医ニュース

2021年12月15日 第2985号

医師の働き方改革推進へ体制構築に向けた取り組みを報告

 日本医師会(中川俊男会長)は11月19日午後、都道府県医師会医師の働き方改革担当理事連絡協議会をオンラインで開催し、各都道府県医師会の担当役員ら約150人が参加。大阪府医師会からは茂松茂人会長、中尾正俊・加納康至副会長、阪本栄・栗山隆信理事が出席した。

 中川・日医会長は冒頭のあいさつで、本年5月に成立した「良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律」に言及。医師の働き方の新たな仕組みが規定されたとして、制度開始までに必要な体制構築について解説するとともに、本日の議論を通じて情報共有を図りたいと述べた。

勤務間インターバル適用時の留意点示す 城守・日医常任理事

 議事ではまず、城守国斗・日医常任理事が「医師の働き方改革に関する議論の経緯について」と題して講演。医師の時間外労働規制が開始される2024年4月に向けたスケジュールに触れるとともに、厚生労働省が本年7月に再開した「医師の働き方改革の推進に関する検討会」の内容を説明した。
 城守常任理事は、時間外・休日労働が年960時間を超える医師が勤務する医療機関における労働時間短縮計画の作成が「努力義務」に変更されたが、時間外労働時間の上限が1860時間となる「連携B」「B」「C」の水準の指定を受ける場合は、第三者評価を受審する前に時短計画案を作成する必要があり、実質的に義務化であると強調。勤務間インターバルについては、宿日直許可の有無等により9時間または18時間のいずれかに定義され、段階的な適用はないと注意を呼び掛けた。
 また、働き方改革に取り組む過程で不明な点があれば、「いきいき働く医療機関サポートWeb(いきサポ)」や各都道府県に設置される「医療勤務環境改善支援センター」を活用するよう促した。

第三者評価にあたる評価者の養成が重要 松本・日医常任理事

 続いて、「医師の働き方に関する各種事業の取組について」と題して、松本吉郎・同常任理事が講演。「評価機能」の設置準備に係る委託事業である「医療機関勤務環境評価センター」について詳述した。同センターは22年度より指定を受けた法人が評価機能を担っていくとして、現在、日医が指定を受けるため、厚労省と意見交換を行いつつ準備を進めていると報告。その上で、22年秋ごろより同センターによる第三者評価を順次行っていくこととなるが、書面調査から都道府県での承認までに6カ月近く要する見通しであるとして、早めの対応が求められると呼び掛けた。
 次に、「評価機能」の設置準備に関する進捗状況を説示。日医「医師の働き方検討委員会」と連携した「評価機能」の設置準備に係る委託事業ワーキンググループ(WG)として、▽評価機能WG▽模擬審査WG▽指定法人WG――を立ち上げ、各WGで議論を深めていくと説明。第三者評価では、評価者の養成が重要になると指摘し、評価機能WGにおいて養成講習会や人選方法、教材の作成などを検討しているとした。また、想定する評価対象医療機関は「全国で1200~1500施設」と見通し、医療サーベイヤー(医師)および労務管理サーベイヤー(社会保険労務士)は各150~180人が必要で、医療サーベイヤーと労務管理サーベイヤーの二人一組で評価していくと言明。各都道府県における医療サーベイヤー養成数や主な業務を示しつつ、都道府県医師会に対して医療サーベイヤーの推薦を依頼したいとした。
 更に、21年11月~22年1月には、多様な開設主体、病床規模、地域から選定した16医療機関を対象に模擬審査を予定していると述べ、評価基準・評価項目、評価マニュアル案、提出資料の検討を行うと語った。
 協議では各都道府県医師会より多数質問が寄せられ、それぞれに日医役員が回答した。最後に今村聡・同副会長が総括。本協議会の内容は各都道府県医師会を通じ、現場レベルで共有していくことが重要であるとともに、24年4月の施行までわずか2年半しかないため、新型コロナウイルス感染症の感染状況も注視しつつ、「やるべきことはやるという姿勢で臨んでいきたい」と締めくくった。