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医師・医療関係者のみなさまへ

11月度郡市区等医師会長協議会

府医ニュース

2021年12月15日 第2985号

 11月度郡市区等医師会長協議会(令和3年度第8回)が11月26日午後、大阪府医師会館で行われた。本文は茂松茂人会長あいさつ(要旨)。

 新型コロナウイルス感染症は、ここに来て少し落ち着いた状態だが、海外の新規感染者数を見ると、欧米を中心に感染が再拡大している。国からは病床確保や臨時医療施設の設置など、医療体制強化の要請があるが、大阪は対応できている。一方で、コロナワクチンの接種状況を把握するVRSの記録ミスが指摘されており、3回目ワクチン接種券の送付への影響が懸念される。
 治療薬については、メルク社製の経口薬が英国で承認され、後藤茂之・厚生労働大臣が「160万回分の確保を同社と合意した」と公表。更にファイザー社が「開発中の経口薬は臨床試験で入院・死亡リスクを89%低下させた」と発表した。ただし、経口薬の効果を十分発揮するには感染初期の投与が必要であり、かかりつけ医の治療への関わりがこれまで以上に求められる。加えて、手軽な経口薬により、副反応を伴うワクチン接種を敬遠する人の増加も危惧される。
 また、「令和2年にがんと診断された人が前年に比し9.2%減少した」と日本対がん協会から発表があった。新型コロナの影響でがん検診受診が減ったことで、今後、進行がんで発見されるケースが増え、予後の悪化や死亡率の増加も懸念される。国民への働きかけが必要だ。
 次期診療報酬改定に向けての基本的な考え方は、12月初旬には取りまとめられるが、大きな柱である「新型コロナウイルス感染症対策」や「医師等の働き方改革への支援」が診療報酬でどう評価されるかが重要となる。今回は、「感染症に関わる入院・外来の報酬の評価」や、菅義偉前首相が少子化対策の目玉に位置付けた「不妊治療の保険適用の拡大」といった課題も加わる。なお、「かかりつけ医の機能強化」については、同時に制度化を求める意見も強まっている。日本医師会には制度化の阻止にしっかりと対応願いたい。
 今後、岸田文雄首相が「新しい資本主義」などの看板政策をどう具体化させていくのか、注目を要する。司令塔となる「新しい資本主義実現会議」の下に「全世代型社会保障構築会議」や、看護師や介護職員・保育士などの賃上げを検討する「公的価格評価検討委員会」などの会議が設置されているが、そこに医療側からの委員は一人も加わっていないのは問題である。その他、▽HPVワクチンの積極的勧奨の再開▽大病院の紹介なしの患者の選定療養▽医師の働き方改革――など課題は多く、医療を取り巻く環境は非常に厳しい。