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愛犬、がんになる

府医ニュース

2021年12月15日 第2985号

 愛犬12歳(去勢済みオス)に今秋、がんが発覚しました。
 発端は3月末、頸部にある鶉卵大の腫瘤に気付き、動物病院で診てもらったのですが、針生検の結果は脂肪腫(良性)ということで、ハーネスの交換のみでの経過観察となっていました。「やれやれ」と安堵したものの、9月に入って、腫瘤は急激に大きさを増し、別の動物病院で検査をやり直すことにしました。
 ヒトと全く同様に、診断の為の血液検査、頸部エコー、針生検、そして全麻下でのX線CTを受けた結果、「甲状腺がんが最も疑わしく、かつ明らかな他臓器およびリンパ節への転移はない」とのことで、2週間後に頸部腫瘤の摘出術が予定されました。
 可動性は充分、保たれていたものの、急激に大きくなった為か、手術当月、運動時に犬は呼吸困難に陥っていたので、手術を待つ2週間、飼い主としては一日千秋の思いでした。手術は無事に終えられたものの、2回の全身麻酔と手術侵襲で、犬はかなり憔悴しています。13針ある頸部の創が痛々しかった。摘出された腫瘤は鶏卵大にもなっていました。
 病理診断は甲状腺濾胞細胞がん。一応は「取り切れた」ということでしたが、転移率はがんが大きいほど高くなる為、まだまだ注意が必要です。告知する医師でもない、告知される患者さんでもない、「家族ががんになる」ことに近い体験を、愛犬を通して得ました。「がん患者さんのご家族はこんな心境になるのだな」そしてセカンド・オピニオンの重要性を改めて思いました。
(猫)