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府医ニュース

2021年12月15日 第2985号

 ◆信州遠山郷下栗を訪ねた。標高千㍍で急斜面。古びた氏神の社を囲んで、質素だが味わいのある家々の山里。
 ◆商店は見当たらず、食品・日用品の陳列棚を積んだ軽トラに出合う。週何回かの移動販売という。住民が、一人二人と集っている。憩いの時間も運んできている。限界集落の物心の支えと思えた。ただ、軽トラの周りに、子供の歓声はない。限界集落の現実を感じる。
 ◆徳島那賀町木頭。こちらも千㍍級の山に囲まれた限界集落。廃校の跡地に、国内外の著明なデザイン賞を受賞した建物。地方創生グループが運営し、住民が働くコンビニだ。定番商品、生鮮食品に住民手作りの特産品。住民が憩う。評判を知り、遠方からの客も。集落に明るさを運ぶ。
 ◆加えて、子供向けのイベントも。一人での買物やイベント体験から、子供が未来への刺激を受けられる機会を目指す。山里の限界集落にあっても、子供に託す未来を感じる時間は有意義であろう。小筆が幼いころ、小遣いを握りしめ、店先に緊張して立ったことを楽しく思い出す。(翔)