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医師・医療関係者のみなさまへ

調査委員会だより No.87

府医ニュース

2021年12月1日 第2984号

電話や情報通信機器を用いた診療の報酬設定について医師会員はどう考えているのか 文 岩本 伸一(東成区)

 令和3年2月に実施した「電話や情報通信機器を用いた診療に関する会員意見調査」から、制度の導入や恒久化に関して賛成と反対が拮抗しており、特に勤務医や若い世代で賛成意見が多いとする報告を行った(本紙第2964号)。その後、新型コロナウイルス感染症の第4波、第5波が到来し、この診療形態のニーズが高まる中、診療報酬設定について医師会員はどのように考えているのだろうか。
 結果は、全体の66.9%が対面診療と同じ、または対面診療よりも高い診療報酬とすべきとする意見であった。制度の導入に賛成の意見が多かった勤務医は69.0%と、診療所長67.2%よりもわずかに高い傾向を認めた。そこで、自由意見からこれらの傾向の原因を探ってみた。
 自由意見では「時代の流れと受け止める」「非常時には大変有効なツールである」とする意見がある一方で、この診療形態に反対する意見も多くみられた。診療報酬設定に関しては、▽初診では対面診療より得られる情報が少なく、かえって手間と時間がかかる▽保険証の確認等セキュリティーの問題▽未収のリスク▽オンラインシステムの整備費用の担保▽診療の質の低下や医療過誤等による訴訟のリスク▽なりすまし、迷惑行為等のトラブルの可能性――といった理由から、対面診療よりも高い報酬設定を要望する意見が多かった。再診時の安定している患者に対するdo処方にはそれほど抵抗がないようであったが、初診時の様々なリスクを考えるとそれなりの報酬設定を希望するようである。
 今秋には本制度の恒久化に関しての指針が発表され、来春の診療報酬改定で本格導入予定であるが、メリットだけに焦点を当てるのではなく、医師側が考えるデメリットも議論された上での診療報酬設定を望みたい。