TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

時事

新型コロナワクチン追加接種

府医ニュース

2021年12月1日 第2984号

現場への供給とモデルナ製の扱いが鍵

 厚生労働省は、12月1日から(令和4年9月30日まで)始まる新型コロナワクチンの追加接種(3回目接種)の概要を自治体説明会で発表した。対象者は18歳以上で、2回目接種を完了した日から原則8カ月以上経過した者。接種券は各自治体から前回接種日を基に順次配送される予定である。
 1回目・2回目に接種したワクチンの種類に関わらず、3回目接種に用いられるのはファイザー社製とモデルナ社製(承認待ち)のmRNAワクチン。すなわち、前回と異なる種類の接種(交互接種)が可能とのこと。そして、有効期限の延長がファイザー社製ワクチン(6カ月から9カ月)、モデルナ社製ワクチン(7カ月から9カ月)でそれぞれなされた。モデルナ社製ワクチンでは前回の接種量が0.5㍉だったのが、3回目は0.25㍉と半分になる(ファイザー社製ワクチンは前回と同じ投与量)。
 一方、集団接種のみで使用されていたモデルナ社製ワクチンが、この度、個別接種でも用いられるようになった。特に、高齢者接種がピークとなる令和4年2~3月、トータルで約3700万回のワクチン出荷が予定されているが、その内訳は、ファイザー社製約2千万回、モデルナ社製約1700万回とされている。この時期に対象となる高齢者は、前回ファイザー社製の接種者が大部分だ。個別接種会場である医療機関もファイザー社製を扱っており、その割り当てがどのような形になるのか、冬の予約時の大混乱も視野に入れ考える必要がある(配送配分は、ファイザー社製ワクチンが12月に1200万回、4年2月に800万回、モデルナ社製ワクチンは同年1月に1700万回を予定)。
 いずれにせよ、交互接種に関しては、モデルナとファイザーの「選択の自由」が保証されたような錯覚を受けるが、これも新自由主義の「選択の自由」同様、供給側が用意した制限の下での「選択の自由」でしかない。供給管理、具体的な計画、市民への広報含め政府の説明が望まれる。担当大臣がマスコミでアドバルーンをあげ、その反応を見てから行政通達を出す手法だけはご勘弁願いたい。現場はその都度振り回されるからだ。
 最後に、配布資料には「市町村は追加接種開始後も1、2回目接種を受け入れ可能な体制を確保すること」とある。更に、時期は未定ながら、小児用(5~11歳)ファイザー社製ワクチン(薬事承認前)の接種体制構築への言及もあった。交互接種や1、2回目接種も合わせ、「1機関で複数のワクチンを取り扱うことを許容」するとあり、キャンセルの扱いや誤接種への対策など、現場への負担軽減のための様々な対策が課題だろう。(葵)