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医師・医療関係者のみなさまへ

第21回大阪病院学会

府医ニュース

2021年11月24日 第2983号

シンポジウムで茂松会長が「新型コロナへの取り組み」を発表

 大阪府病院協会(佐々木洋会長)および大阪府私立病院協会(生野弘道会長)主催による第21回大阪病院学会が11月7日、ウェブにより開催された。「コロナを越えて羽ばたこう! 大阪の医療」をテーマに、350題に及ぶ演題が発表され、当日は府内の病院関係者ら1千人を超える視聴があった。

 冒頭、佐々木学会長は、本学会が過去最大の演題登録となり、多数の視聴の中で開催を迎えられたのも、運営関係者らの尽力の賜物と謝意を表した。また、我が国の少子高齢化の問題に対しては、疾病構造の変化に応じた医療提供体制の改革が余儀なくされると述べ、「多くの病院の存続に関わる」と強調。新型コロナを契機として、▽地域医療構想による病床の機能分化と連携▽医師偏在の解消▽医療従事者の働き方改革――などの課題が、その方向性の修正と解決に向けた議論を必要としていると語った。
 続いて、「コロナに学ぶ地域医療構想とこれからの病院の在り方」をテーマにシンポジウムが実施された。茂松茂人・府医会長は、「大阪府医師会の新型コロナウイルス感染症の取り組み」と題して発表を行った。
 まず、国内患者発生からこれまでの対応を振り返った。第4波以降は、自宅療養者への電話・オンライン診療に力を入れ、府内520の医療機関が協力。1カ月間でこれまでの1年間の件数を超える関連レセプトの請求があったことを明らかにした。更に、医療逼迫の要因を検証する「新型コロナウイルス感染症対策検証専門委員会」を開催し、「早期入院による早期の適切な治療へ」という方針転換を大阪府に要請。第5波での医療逼迫を回避したと力を込めた。
 第5波では、往診体制に力を入れ、「自宅療養者への対応ガイド」発行や「市民向け医療機関案内窓口」を設置し、661医療機関が往診体制にあったと語った。次の流行に備えては、外来や往診による抗体カクテル療法の増加を見込んだ研修会の実施や、コロナワクチンの3回目接種を進めていくとした。
 最後に、今後の地域医療構想では、平時から有事に備えられる体制づくりが必要とし、「急性期病床の削減を主としたこれまでの構想は見直しが必要」と断じた。その上で、人材の育成や保健所機能の強化は重要であり、医師会は医療体制の維持・充実のため、与えられた使命を果たして行きたいと結んだ。
 そのほか、迫井正深・内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室長、小熊豊・全国自治体病院協議会長、生野弘道・大阪府私立病院協会長、高橋弘枝・大阪府看護協会長、藤井睦子・大阪府健康医療部長がシンポジストとして登壇し、それぞれの立場から意見を表明した。