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医師・医療関係者のみなさまへ

本日休診

病が癒えるとき

府医ニュース

2021年11月24日 第2983号

 これを書いている令和3年11月中旬、新型コロナの新規発症は減少しています。街には人出が増え、人気の飲食店の前には行列が復活しています。このまま収束するのかは、全く予断が許されない状況ではありますが、巷には長かった緊急事態宣言期間が終わったというゆるやかな解放感が流れているように感じます。
 私は高校3年生の時、肺炎に罹りました。父が開業医だったので自宅で療養していたのですが、一週間ぐらい続いた熱が遂に下がった時、何とも言えない爽快感を味わいました。まさに「病が癒える」感覚でした。無論、社会を覆う感染症の収束と個人の病が癒えることは同じではありませんが、最近しきりとあの時のことが思い出されます。
 カミュの『ペスト』でペストの流行が終息した時の描写は印象的です。人々は街に繰り出して騒ぎ、祝砲が轟き、花火が打ち上げられます。
 新型コロナは、感染拡大の次の波が来るとも予想されており、まだ解放感に浸る時ではありません。いずれにしても対策は続けなければなりません。私の高3の時の肺炎も、熱が下がって一旦登校したものの、また微熱が続くようになって休むことになりました。
 先の見えない状況ではありますが、早く「病が癒えるとき」が来て欲しいという期待を込めてこれを書いています。
(瞳)