TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

拡大鏡

府医ニュース

2021年11月24日 第2983号

 ◆昨今、種々の後発医薬品の不足が目立っている。調剤薬局に在庫が全く無く、処方中止を含め対応に苦慮する場合もある。
 ◆その原因は、コロナ禍の原薬製造国での操業縮小・停止、流通停滞といった単純な問題だけではなさそうだ。国内の後発医薬品企業の相次ぐ不祥事による業務停止や、厚生労働省が後発医薬品の承認審査を厳格化したため、各企業が製造実態の自己点検で不備が発覚した医薬品を自主回収、出荷調整したことが影響している。
 ◆この後発医薬品の不足は、医師が持つ危機感以上に極めて深刻な事態のようである。後発医薬品市場は、主要な企業からの供給が一度途絶えれば、すぐに代替品の増産の対応ができないという構造的な問題を抱えており、不足解消には数年の調整が必要とされる。
 ◆今年は、新型コロナワクチンやインフルエンザワクチンで安定供給の重要性を十分実感してきた。後発医薬品においても、国には監査指導強化による安全性はもちろん、同時に安定供給の担保を併せ持つ政策が求められる。(誠)