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医師・医療関係者のみなさまへ

布施医師会主催 緩和ケア研修会

府医ニュース

2021年11月24日 第2983号

患者の思い、実現へ

 布施医師会(松山浩吉会長)は10月16日午後、東大阪市から受託する在宅医療・介護連携推進事業の一環として、第26回布施緩和ケア研修会を開催。今回は「いのちをつなぐ×生ききる×緩和ケア」をテーマにオンラインで実施し、在宅医療に関わる医師、看護師ら177人が参加した。
 当日は、川邉正和氏(同医師会緩和ケア担当理事)および福村雄一氏(東大阪プロジェクト代表)が司会進行を務め、冒頭、松山会長があいさつ。患者が人生の最期まで幸せに生きられるように手を差し伸べることが「緩和ケアの要」と語り、本研修会が緩和ケアに携わる人々の支えになるよう期待を寄せた。
 続いて、山中英治氏(若草第一病院長)が「救急病院の癌外科医が考えるACP」と題して講演を行った。山中氏は、救急現場で多くの患者を看取った経験から、「誰でもいつでも命に関わるけがや病気をする可能性がある」と説明。認知症の問題にも言及し、「一人ひとりが思いを伝えられるうちから、人生の最終段階について考える必要がある」と説いた。また、患者のQOLと尊厳について触れる中で、栄養不良による寝たきり・褥瘡を課題視。胃瘻や輸液治療、化学療法食への考えを詳述した。
 次いで、山本直美氏(同病院緩和ケア認定看護師)が「アドバンス・ケア・プランニング――自分らしく生ききるために」をテーマに講演。患者の思いを実現させるためには、多職種が顔の見える関係で「思いをつなぐこと」が重要と述べ、あわせて▽一人の人として患者に興味を持つ▽患者目線でのケアを考える▽皆で繰り返し話し合う――といったポイントを示した。
 講演後は同医師会理事の川口俊氏、田仲みすず氏のほか、松本静香氏(緩和ケア特定認定看護師)、北村愛美氏(訪問看護師)、前田尚久氏(薬剤師)、小林亜津美氏(介護支援専門員)によるシンポジウムを展開。それぞれの視点から、「多職種連携の重要性」「コロナ禍におけるACPの在り方」「認知症の方のACP」などについて意見を交わした。