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医師・医療関係者のみなさまへ

大阪府医師会 創立74周年記念式典

府医ニュース

2021年11月24日 第2983号

医療界の一致団結が重要

 大阪府医師会は11月3日午前、府医会館において創立74周年記念式典を挙行。現執行部に加え、歴代府医役員、郡市区等医師会長が出席し盛大に祝した。また、医学教育功労者ならびに功労会員らを表彰し、これまでの功績をたたえた。なお、昨年度に続き、新型コロナウイルス感染防止の観点から、祝賀会ならびに健老会の開催は中止された。

 式典は栗山隆信理事が司会を務めた。中尾正俊副会長の開式の辞で幕が明け、茂松茂人会長が式辞。府医が幾多の変遷を経て、今年で74年目を迎えられたのも、歴代会長、役員の諸先生方をはじめ、会員の尽力によるものと敬意を表した。
 なお、新型コロナの第5波では病床の拡大や早期治療、ワクチン接種により重症化率・死亡率ともに大きく改善したと言及。「会員の献身的な協力の賜物である」と述べ、引き続き行政や病院団体とともに医療提供体制の整備を進めると誓った。
 また、新しく誕生した岸田文雄首相が、成長と分配の好循環による「新しい資本主義」を目指していることにも触れた。国民の所得水準が落ち込む中で、中間層を厚くし、誰もが安心して暮らせる社会を目指す姿勢は、医師会と同じ方向性を目指すものと期待した。
 更に、来年の診療報酬改定に向け、コロナ禍で苦しんだ医療機関を支援するためにも、日本医師会には強い決意を持った活動を求め、これを支えていきたいと言明。地域医療構想への対応や医師の働き方改革など、課題が山積する中で、これらにしっかり対応するには医療界の一致団結が重要と力を込めた。
 そして今後も、国民皆保険制度を形骸化させることなく、社会保障を守っていくことが重要と述べ、行政とも連携を図りながら国民へ必要な医療を届けられるよう頑張っていきたいと語った。
 次いで、自見はなこ参議院議員が祝辞を披露。「コロナ禍での1年10カ月、ワクチン接種や発熱患者への対応など、医師会の働きは計り知れない」と述べ、その努力や国民の声をしっかりと政府に届けていくと誓った。
 その後、本年春に旭日双光章を受章された末澤慶昭氏(北区)と、同じく秋に受章の豊田紘生氏(淀川区)に花束が贈呈された。続いて、医学教育功労者として野村昌作氏(関西医科大学副学長/内科学第一講座主任教授)、ならびに保健文化賞受賞記念大阪府医師会長賞の生野区医師会訪問看護ステーション、日本医師会最高優功賞受賞記念大阪府医師会長賞を受賞した吹田市健康づくり推進事業団を表彰した。

 また、功労会員として白寿会員7名、米寿会員95名、長期在任の本会代議員・郡市区等医師会長、各種委員会委員などに感謝状が贈呈されたほか、永年勤続府医職員が表彰された。その後、被表彰者を代表して野村氏が謝辞。「今後も府医の発展に、より一層努力したい」と述べた。
 閉式の辞で高井康之副会長が、「コロナ禍を抑え込み、来年度は健老会もあわせて開催し懇親の場で語りたい」と願い、閉会した。

表彰者・団体の紹介
〇医学教育功労者 野村昌作氏(関西医科大学副学長/内科学第一講座主任教授)

 昭和56年3月に関西医科大学を卒業。同大学第一内科で臨床研修後、助手、講師を歴任。平成11年に米国メリーランド医学研究所に留学後、附属香里病院内科医長、第一内科助教授、市立岸和田市民病院血液内科部長を経て、22年に内科学第一講座の主任教授、28年から副学長に就任、現在に至っている。
 専門は血液学、特に止血・凝固学であり、血栓症の診断・治療や免疫性血小板減少症の病態、自己末梢血幹細胞移植の病態生理などを研究している。令和元年から日本サイトメトリー学会の理事長に就任。その他多くの学会の理事・評議員も務めている。
 学術研究では、第70回日本血液学会優秀ポスター賞、国際血栓止血学会優秀ポスター賞を受賞。社会活動としては、府医医学会運営委員、文部省科学研究審査委員、共用試験機構CBT外部評価委員、大学基準協会評価委員を務める。血液学の分野において卓越した業績を上げられ、医学の発展に大きく寄与、永年にわたり後進医家の育成に尽力してきた。

〇保健文化賞受賞記念大阪府医師会長賞 生野区医師会訪問看護ステーション(谷本吉造代表)

 平成5年に医師会立としては近畿で第1号の訪問看護ステーションとして開設。生野区は大阪市内での老年人口比率が高く、寝たきり老人も多い地区で、住み慣れた家庭や地域社会の中で安心して療養したいという地域住民の切なる願いに医師会ぐるみで応えるために発足した。
 28年からは、大阪市からの委託を受け、地域の医療・介護関係者等からの相談を受け付ける窓口「高齢者等在宅医療・介護連携相談支援室」を設置し、コーディネーターを常駐。多職種連携で切れ目のない在宅医療と介護の提供体制の構築に向けた取り組みや、かかりつけ医の紹介、関係者間の情報共有の支援をしている。
 また、区役所や地域包括支援センター、居宅介護支援事業所、病院の地域医療連携室などとの連携強化も積極的に行い、地域住民の保健医療福祉の推進に寄与してきた。

〇日医最高優功賞受賞記念大阪府医師会長賞 吹田市健康づくり推進事業団(御前治副理事長)

 市民の健康づくりを支援することを目的に、各種事業やイベントの開催をはじめ、指導者育成や情報提供などに取り組む関係団体参画の下、吹田市が資金を援助し平成3年に設立。行政施策と連携を図りながら、創意と専門性を生かした実践指導などにより、市民の積極的な健康づくりを支援し、弾力的・効果的に事業を推進している。
 事業内容は、「みんなの健康展」「吹田市民健康づくりフェスティバル」のほか、各種の健康づくり講演会・健康づくり教室を実施。情報誌「健康すいた」を発行するなど、医療3団体をはじめ、関係団体の特性を生かした情報発信により、市民の意識向上を図っている。
 なお、吹田市医師会とは長年にわたり、健康イベントの企画や出展、講師派遣、情報誌への執筆などにおいて連携しており、市民の健康増進に大きく寄与している。