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大阪移行期医療研修会

府医ニュース

2021年11月17日 第2982号

成人先天性心疾患の課題を検討

 大阪府移行期医療支援センター主催、大阪府医師会後援による、第3回大阪移行期医療研修会が9月4日午後、オンラインで開かれた。今回は、先天性心疾患患者の移行期医療に焦点を当てた講演とディスカッションを実施し、115人が参加した。
 導入では位田忍氏(大阪母子医療センター臨床検査科主任部長)が、「医学の進歩により、小児期発症慢性疾患患者の多くが成人期を迎えている」と説明。ライフステージとともに必要な支援も変わる患者に対し、生涯にわたり適切な医療を受けることができる体制の構築が必要とした。また、白石公氏(国立循環器病研究センター教育推進部長)は、成人先天性心疾患患者について、「安心して受診できる専門施設が少ない」「生活習慣病や成人疾患の発症に、小児科医では対応が困難」といった問題を提示。適切な移行期医療には、患者への自立に向けての教育と成人診療科医の理解が不可欠と語った。
 続いて、3題の講演が行われた。星賀正明・府医理事は、先天性心疾患への理解がある成人診療科医の少なさに言及。専門医制度の充実とともに、生涯教育など裾野の広い教育が望まれるとし、あわせて大阪医科薬科大学における学生教育の取り組みを紹介した。黒飛俊二氏(オりオノクリニック院長)は、小児科開業医の視点で課題を分析。病状の急変時に治療を依頼できる二次・三次医療機関の不足とともに、開業医の引退や閉院に伴う患者引き継ぎの難しさを挙げた。岡田健一郎氏(のぞみハートクリニック院長)は、成人診療科の在宅医の立場から移行期の症例を報告。地域で患者を支えていくには患者・家族の不安を和らげることが重要と述べ、訪問看護師や病院の小児科医師との密な連携が求められるとまとめた。
 講演後は塚本泰正氏(国立循環器病研究センター移植医療部移植対策室医長)の司会でディスカッションを実施。「地域と基幹病院の連携強化のために、いま何をすべきか?」をテーマに、活発な議論を繰り広げた。