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時事

新型コロナワクチン、予診票のポイントが改訂

府医ニュース

2021年11月17日 第2982号

他とは異なる〝作法〟も

 10月28日、厚生労働省から、新型コロナワクチン「予診票の確認のポイント」Ver4.0が公表された。以前(Ver3.0、8月13日版)との大きな変更点は以下である。
 (1)交互接種(1回目に接種したワクチンと異なるワクチンを2回目に接種)は、27日以上の間隔を空けること(4週間後の同じ曜日以降に接種)が記載された。なお、標準の間隔を超えた時はできる限り速やかに2回目を接種するとし、間隔の上限は定められていないことは、これまで同様である。
 (2)最近1カ月以内の罹患に関し、従前は、▽治癒後2週間を目安とし、麻疹など特に免疫抑制を認める疾患の場合、4週間程度間隔を置くことが望ましいとされていた。また、COVID―19の罹患については、米国CDCの見解に基づき、▽接種を遅らせることを選択できる▽モノクローナル抗体または回復期血漿での治療を受けた場合は、治療から90日以降の接種が勧められる――とされていた。今回の改訂で、▼特に免疫抑制が認められない疾患では、体調が良く接種を希望する際には、治癒からの間隔を置かなくても接種可能▼COVID―19については、隔離が解除され体調が回復して接種を希望する際には、治療内容や感染からの期間に関わらず接種可能――となった。抗体治療後や本人が治療内容を記憶していない場合でも、本人が速やかな接種を希望すれば、90日間経過せずとも可能と明記された。
 (3)妊娠中の方について、これまでは▽主治医に相談し、接種のメリットとデメリットをよく検討して判断していただく――とされていたが、今回の改訂により、▼かかりつけの産婦人科医に確認していない場合でも、予診医が基礎疾患や体調の内容などについて問診や検温などの診察を行い、接種可能と判断した場合は可――とされた。
 さて、10月29日付で発出された「新型コロナ予防接種の間違いの防止について(その3)」では、間違い報告のデータを踏まえ、他のワクチンを受けに来た者に新型コロナワクチンを接種した間違いに着目し、注意喚起が行われている。
 また、昨年10月にワクチン接種間隔のルールが変更され、注射生ワクチン同士以外の日数制限が撤廃されたが、新型コロナワクチンは、他のワクチンと13日以上、間隔を空ける必要がある。特にこれからの時期は、インフルエンザワクチンやHPVワクチンとのスケジュール管理も問題となろう。
 更に、新型コロナワクチンは最も新参のワクチンでありながら、接種推進のためか、他の予防接種と比べて以下が簡略化されている。①添付文書での診察の記載で「視診、聴診等」が省かれた(コミナティ3月改訂第3版)②予診票において「その病気を診てもらっている医師に今日の予防接種を受けてよいと言われましたか」の設問が削除された(5月28日)③従来一般に30分とされてきた接種後の経過観察時間が、15分に短縮された。これら〝作法〟の違いも、現場の混乱や間違いの元となり得る。様々なことに、注意が求められている。(学)