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コロナ禍と個人情報

府医ニュース

2021年6月2日 第2966号

 新型コロナウイルス感染症の第4波。
 近隣の医院での出来事。かかりつけの84歳独居男性が、新型コロナウイルス陽性となり、令和3年4月29日発生届提出。自宅待機。ゴールデンウィークを挟み、複数回電話をかけたがつながらず、保健所に問い合わせたところ、「ご本人の同意が得られていないのでお知らせできない」との返答。その後も本人への連絡を試み、5月19日にやっと電話がつながると、娘さんが出られ、先週大阪府内他市のコロナ関連病院で亡くなったと知らされた。
 少なくとも入院したことは連絡してほしかった旨を保健所に伝えると、保健所側も死亡はその電話で知ったと説明された。
 また、今年3月、兵庫県で、87歳男性が院内感染で死亡したことを保健所が10日間把握できていなかったと新聞報道があった。病院側は告知義務を知らなかったとコメントしている。
 発症後の情報はどのように処されているのだろうか。
 厚生労働省医政局は、令和2年4月28日付「新型コロナウイルス感染症に係る医療機関間での個人情報の共有の際の個人情報保護法の取り扱いについて」で、本人への医療の提供のために必要な個人情報の迅速な共有が重要とし、本人の同意の取得の例外に該当するとして、医療機関間や、地方自治体(保健所)を例示している。
 また、新型コロナウイルス感染症を原死因とした死亡数の公表において、死亡票を把握している保健統計主管部局と感染者情報を有する衛生主管部局との情報のやり取りが、個人情報の取り扱い等に該当するのかとの疑義があったが、「コロナ対策の重要な資料」として認められている。
 新規感染者、重症患者の増加で、現場は混乱している。めまぐるしく変動する状況を把握するためにも、適切な情報の共有の流れを見直す必要を感じた。
(颯)