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医師・医療関係者のみなさまへ

調査委員会だより No.79

府医ニュース

2021年5月5日 第2963号

新型コロナウイルス感染症に係る行政検査の集合、個別契約に関する報告 文 東川 光弘(河内)

 令和2年11月18日から12月2日にかけて行った新型コロナウイルス感染症に関する会員意見調査の結果から、行政検査の集合、個別契約の参加状況について報告する。
 「行政検査の集合、個別契約に手挙げ(または予定)していますか」との問いに診療所長では「はい」34.1%、「いいえ」60.8%、病院長では「はい」38.7%、「いいえ」51.4%という結果であった。また「府の指定を受け、発熱患者等の相談対応・診療、新型コロナとインフルエンザ両方の検査を行う診療・検査医療機関に手挙げ(または予定)していますか」の設問では、両者とも「いいえ」が更に多く、「いいえ」と回答した群の理由は、「補償が十分でない」35.1%、「原則公表は困るから」28.8%、「報告システムの煩わしさ」27.0%等であった。
 新型コロナウイルス診断の検査については昨年から検査体制等の不備が指摘されていた。「いいえ」と回答した群に個々の意見を問うと、最も多かったのは「検査をする際に患者の導線が分けられない」「診療時間内に行うのは不可能である」など、自院の検査体制の不備を訴える意見が多く、次にスタッフへの感染の危険性を挙げていた。その他、医院に対する風評被害など、自院の負担を考慮すれば率直な意見であり、感染時の「補償が十分でない」なども当初から言われてきたことである。次の設問の「発熱外来やインフルエンザの検査も行う診療・検査医療機関に手挙げする」と回答した施設は更に少ない(26.9%)結果となっており、対象を内科系医療機関のみに絞っても32.7%にとどまる。現状の医療体制ではこのウイルスの感染症対策がいかに困難であるかがうかがえる。診療・検査医療機関への手挙げも調査当時よりは増加しているようであるものの、今後の新型コロナ感染症の拡大や将来の新興・再興感染症対策を考えると、行政のみならず医師会全体での体制構築を模索しなくてはならない。