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医師・医療関係者のみなさまへ

第24回布施緩和ケア研修会

府医ニュース

2021年5月5日 第2963号

「その人らしさ」を捉えて

 布施医師会(松山浩吉会長)は3月27日夕刻、第24回布施緩和ケア研修会をオンラインで開催した。本研修会は、東大阪市の在宅医療介護連携推進事業の一環として実施。今回は、精神疾患を抱える患者への関わり方に焦点を当てた講演とシンポジウムを展開し、医師・看護師をはじめ緩和ケアに携わる多職種147人が参加した。
 当日は、川邉正和氏(布施医師会理事)および福村雄一氏(東大阪プロジェクト代表司法書士)が司会進行を務め、開会にあたり松山会長があいさつ。緩和ケアに従事する医療・介護関係者へ謝意を示すとともに、本研修会が患者とその家族を支える活動の一助になればと期待を寄せた。
 第1部では、「緩和ケアで精神障害の患者にどう対応するか」をテーマに、和田信氏(大阪国際がんセンター診療・緩和科〈精神腫瘍科〉部長)が、精神疾患の様々な病態を解説。「目の前の患者がどのような状態にあるのか」を捉えた対応が必要とした上で、精神疾患を抱える患者への関わり方の理解に向けては、専門家に相談できる体制の構築が重要と加えた。続いて、和田知未氏(大阪鉄道病院緩和ケア内科)が「精神疾患患者さんの看取りについて」と題して講演。同氏は、精神を患っていても、大抵の場合「意向」は存在すると言及。しかし、精神疾患を抱える患者の看取りは、本人と支援者の意向に相違があることが多いと述べ、双方のバランスを取りながら方向性を決めていくことが大切と説いた。
 第2部では、小瀬古伸幸氏(訪問看護ステーションみのり統括所長)が「精神疾患を持つ人への明日から活用できるスキル」と題して講演。小瀬古氏は、緩和ケアと精神科の治療は別物だが、入り口はどちらも「その人らしさを捉えること」と前置き。患者の「行動」に着目して、その「行動」の背景を考えることが、当事者への理解につながると語った。
 講演後には、司会進行と3人の演者に加え、川邉綾香氏(かわべクリニック看護師)、北村愛美氏(訪問看護ステーションリール看護師)らでシンポジウムを展開。参加者から寄せられた質問に、それぞれの立場からアドバイスを送った。
 閉会時にあいさつを述べた柏井朗氏(布施医師会副会長)は、新型コロナウイルス感染症の動向に触れるとともに、ワクチンに言及。国民が安心してワクチン接種を受けることのできる体制づくりに、今後も行政と協力して取り組んでいきたいと結んだ。