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府医ニュース

2021年5月5日 第2963号

 ◆新緑が眩しい山歩き。頂上では三角点に立ち、標高を体感する。三角点は全国で10万点。経度・緯度に加え、標高が定められている。
 ◆三角点の標高は、全国2万点の水準点を基準とする。水準点の起点「水準原点」は、国会議事堂前・憲政記念館の庭園に、明治24年に設置された。地下10㍍から固めた基礎に支えられ、標庫に守られる。まさに神殿。
 ◆国土地理院では、毎年三浦半島での海水面を基準に、水準点のぶれを測定している。100年前の関東大震災、10年前の東日本大震災での地殻変動に伴い、2度改定。標高は24.39㍍と。一昨年、土木遺産として重要文化財指定に至った。
 ◆文化財といえども「現役」である。GPSでのリアルタイムの位置監視に、電子基準点(全国300点)が導入されている。しかし、精度では三角点・水準点に基づく測量が勝る。社会基盤整備、環境管理、電力・ガス、交通事業等の整備維持に必須なアナログ。伊能忠敬以来の測量への情熱と術が受け継がれている。測量士への敬意を表したい。(翔)