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ますます深刻さを増している

府医ニュース

2021年5月5日 第2963号

新型コロナによる医療機関の経営への影響

 3月26日に開催された第142回社会保障審議会医療保険部会において、「医療保険制度における新型コロナウイルス感染症の影響について」が報告された。
 2020年4月から11月の概算医療費の動向については、対前年同月比でみると4月▲8.8%、5月▲11.9%、6月以降は緩やかな回復傾向となり、10月には一時的に1.5%のプラスになったが、11月には再び▲3.8%と減少した。同様に受診延日数については、4~5月に▲18~19%程度減少、6~8月も▲7~10%で推移、その後も9月▲5.5%、10月▲1.3%と減少幅は小さくなったが、11月には▲9.1%と減少幅は拡大し、すべての月において対前年比で減少していたことから、受診抑制が続いていることが推測された。
 入院医療費についても、4月~9月の期間は、▲0.2%~10.1%で推移し、10月には一時的にプラス1.0%であったが、11月には再び▲2.3%と減少となった。受診延日数は、▲3.1%~8.8%とすべての月においてマイナスで推移した。入院外医療費は、4月~9月は▲1.0%~15.4%、10月はプラス0.4%となったが、11月には▲5.8%と減少。受診延日数についても、4月~11月▲2.5%~21.2%で推移し、入院と同様にすべての月で減少していた。
 医科診療所の主たる診療科別では、11月はいずれの診療科もマイナスとなり、特に小児科・耳鼻咽喉科では▲20%程度と大きく減少していた。また、電子レセプトを用いた医科医療費の分析によると、年齢階級別では、入院・入院外ともに「0歳以上5歳未満」「5歳以上10歳未満」での減少幅が大きかった。疾病分類別では、入院・入院外ともに、「呼吸器系の疾患」がマイナス方向に大きく影響しており、その他では、入院外で「循環器系の疾患」がマイナスに寄与していた。
 診療内容別では、入院は「手術・麻酔」が、入院外は「初診」「薬剤料」がマイナスに大きく寄与していた。保険制度別では、いずれも5月が最も減少幅の大きかったが、被用者保険▲14.1%、国民健康保険14.1%、後期高齢者医療制度では▲9.9%と後期高齢者の減少幅が相対的に小さかった。
 今回のデータは、あくまでも第3波に突入した11月までのものであり、第3波の影響、更には第4波とされる今回の新型コロナウイルス感染症による医療機関の経営に及ぼす影響は、より深刻さを増しているものと考えられる。