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医師・医療関係者のみなさまへ

健康スポーツ医学再研修会

府医ニュース

2021年4月28日 第2962号

コロナ禍での運動療法など解説

 大阪府医師会は3月19日午後、府医会館で令和2年度健康スポーツ医学再研修会を開催。3題の講演を実施し、会場とオンラインあわせて279人が参加した。

 前川たかし理事は開会あいさつで、健康増進に向けた取り組みにおいて、運動処方や運動療法など、医師の果たす役割は極めて高いと説明。また、新型コロナウイルス感染症の影響が続く状況下での健康保持も重要な課題と述べ、本研修会が日常診療の一助になればと期待を寄せた。
 続いて、木村穣氏(関西医科大学健康科学センター長)が「運動負荷試験講習(総論)――ポストコロナにおける運動様式の変化とリスク管理」と題して講演。循環器系・運動器系の疾患を抱える患者には、安全かつ個人に即した強度での運動処方が必要として、運動負荷試験の有用性を詳説した。また、ポストコロナでのオンラインを用いた心臓リハビリテーションを紹介。感染対策と身体活動の両立に寄与し、更なる発展が期待されるとした。
 次に、小田明彦氏(畷生会脳神経外科病院整形外科部長)が「運動器のスポーツ傷害――下肢の傷害を中心に」をテーマに、こむら返り、遅発性筋痛、肉離れ、アキレス腱断裂に対する治療を詳述。アキレス腱断裂の治療については、保存療法と手術療法で「再断裂率に差はない」とした上で、それぞれの治療を採用するポイントを示した。また、アキレス腱断裂は誤診されることが多いと説明。「疑わなければ検査もできない」と述べ、過去の事例を基に注意を促した。
 最後に、横山久代氏(大阪市立大学都市健康・スポーツ研究センター准教授)が「糖尿病患者の健康長寿をめざした運動療法」と題し、糖尿病治療における運動療法の効果を解説。あわせて、2型糖尿病患者に推奨される運動の種類や強度、頻度を示した。その上で横山氏は、運動を継続させることの難しさに言及。アプリの導入や短期目標の設定など、運動への意識改革につながる工夫を検討し、診察室での会話に取り入れてほしいと結んだ。