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医師・医療関係者のみなさまへ

医療情報に関する講演会

府医ニュース

2021年4月28日 第2962号

コロナ禍におけるICTの展望を語る

 大阪府医師会は3月11日午後、第33回医療情報に関する講演会を府医会館で開催。本講演会は、医療情報分野への関心を高め、その活用の幅が広がることを目指している。今回は「with/afterコロナにおける医療とICTの未来予想図」をメインテーマに実施。会場とオンラインあわせて105人が参加した。
 大平真司理事が司会を務め、開会にあたり茂松茂人会長があいさつ。ICTが飛躍的な進歩を遂げる中、医療・介護の分野においても国を挙げてデジタル化が推し進められているが、患者情報の取り扱いなど難しい側面もあることから、ICTの運用については「慎重な姿勢での対応が求められる」と述べた。
 続いて、篠永安秀氏(府医医療情報委員会委員長)が座長を務め、松村泰志氏(大阪大学大学院医学系研究科医療情報学教授)が「医療情報の未来予想図・そこに向けた準備」と題して講演した。松村氏はまず、日本の人口動態の変化を示し、今後は地域包括ケアの重要性が更に増すと指摘。チーム医療の深化に向けて、「患者に関わるすべての医療スタッフが、医療情報を共有できる仕組み」を構想していると述べた。その上で、実現には「施設中心」から「個人中心」へと、医療情報管理におけるコンセプトの転換が必要と説明。あわせて、大阪大学が取り組む、北摂地域を中心とした地域医療連携の体制整備や、阪大病院で開始したPHRの実証研究について報告した。
 引き続き、松田宏樹氏(厚生労働省DMAT事務局/国立病院機構本部DMAT事務局)が「災害医療の最前線――これからのEMISとJ―SPEED」と題して講演。令和元年の台風15号や平成30年の西日本豪雨における災害対応を詳説し、これらの事例から、医療機関が機能を維持するために必要な基礎情報がEMISに追加されたと述べた。また、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」における新型コロナウイルス感染症の対応では、特に薬剤処方に苦心したと説明。これに対し薬剤版J―SPEEDは、応需した災害処方箋の評価や、被災地における薬剤需要の傾向分析が可能とし、災害時の薬事マネジメントに寄与すると語った。
 最後に、福田知弘氏(日本医師会ORCA管理機構㈱営業企画部長)が、オンライン資格確認等システムと医療機関でのキャッシュレス決済についての動向を説明した。