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3月度郡市区等医師会長協議会

府医ニュース

2021年4月21日 第2961号

 3月度郡市区等医師会長協議会(令和2年度第12回)が3月26日午後、大阪府医師会館で行われた。本文は茂松茂人会長あいさつ(要旨)。

 昨年4月7日に新型コロナウイルスの感染拡大により、最初の「緊急事態宣言」が発令されてから、まもなく1年が経過する。感染は収束しないままで、対応するワクチン接種は遅れ、治療薬開発は、今のところ目処が立っていない状況である。現在、大阪府では「感染拡大の兆候を探知するための見張り番指標」として、20~30代の新規陽性者数(7日間移動平均)を毎日公表している。
 一方、経済が低迷する中、令和2年度の社会保険料の国民負担率は46.1%と過去最大になる。企業の業績悪化や国民所得の減少、コロナ対策の3回に及ぶ補正予算の編成で財政赤字が膨らんだことが要因であり、赤字を加味した潜在的国民負担率は66.5%にも達する。4年度の診療報酬改定も厳しくなると予想されるが、今後は、社会保障の財源や法人税の在り方について、しっかり議論していかねばならない。
 なお、東京を含む1都3県でも、緊急事態宣言が(3月21日に)解除された。政府は感染率の高い高齢者施設や繁華街などでのモニタリング検査を強化するとしているが、山梨県の事業者に対する「グリーン・ゾーン認証」のような自治体独自の感染症予防対策への取り組みを、大阪でも行う必要がある。
 また、国内でも変異型(特に英国型)ウイルスの感染者数が増加し、今後、それらによる感染拡大の可能性が指摘されている。海外では、アストラゼネカ製ワクチン接種後に血栓ができる事例が複数確認され、各国で一時接種を見合わせていたが、検証の結果、本事例には関連しないとの発表を受けて使用が再開されている。日本でも尼崎の工場で製造が開始された。
 それらの状況に対し、厚生労働省は次の感染拡大に備えるため都道府県に病床確保計画を見直すよう要請した。今後は順次、各二次医療圏で議論されるが、本会でも実際に起動できる体制を構築するべく、再度、大学病院や公立・公的病院、病院団体で検討する会議を4月には開催したい。そこで有事の際の役割分担と連携を明確にして、医療側からの意見をまとめたいと考えている。なお、一時は「民間病院のコロナ対応が不十分だ」という批判もあったが、今では公立病院に匹敵する病床数がコロナ病床として確保されている。
 更に、国会で医療法の一部改正の議論が進められている中に、令和6年から始まる「医師の働き方改革」がある。従来、労働時間にカウントされなかった宿日直許可基準が、当直勤務で6時間の睡眠が必要とされた。大学病院などからの派遣医師に頼る民間病院や救急にとっては死活問題である。これまでと同じ地域医療体制の維持には、医師を増やすか、各勤務医の労働時間短縮が必要となる。大学病院には時間外労働の例外となる「B水準」もしくは「連携B水準」の指定を受けられ、地域医療にしっかり医師を派遣できる体制をお願いしたい。