TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

第2回学校保健講習会

府医ニュース

2021年2月24日 第2956号

子どものCOVID―19 AYA世代のがんを解説

 大阪府医師会学校医部会は1月27日午後、第2回学校保健講習会を府医会館で開催。今回は2題の講演が行われ、約100人が参加した。なお、開催にあたっては新型コロナウイルス感染防止の観点から人数制限を行い、座席の距離を確保するなどの対策を講じた。
 当日は、座長を務めた森口久子・同部会副部会長(府医理事)が開会あいさつ。新型コロナ感染拡大による緊急事態宣言の下、日々工夫しながら学校保健に従事する関係者に謝辞を述べた。また、厳しい環境の中で学校医活動を行うにあたり、本講習会がその一助になればと期待を寄せた。
 続いて、天羽清子氏(大阪市立総合医療センター小児救急科担当部長)が「子どもCOVID―19――当院で経験した症例から」と題して講演した。天羽氏はまず、小児における新型コロナウイルスの特徴について説明。10歳未満の小児が感染が少ない理由として、ACE―2遺伝子の発現量が少ないことが大きな要因のひとつとした。また、新型コロナ感染の心配から小児のワクチン接種率が低下していると言及。接種時期の遅れにより、病気にかかるリスクが増加するとし、「予防接種は不要不急ではなく、必要な受診である」と強調した。
 次いで、原純一氏(同センター副院長兼小児医療センター長)が「AYA世代のがんの医療的、社会的問題について」をテーマに講演した。AYA世代には子ども・大人のそれぞれで好発するがんが混在し、診断が難しいと指摘。一人ひとりの患者に応じた最適な治療を見極めることがポイントであると説いた。あわせて、患者の心理社会的問題について、自院の事例を基に解説。▽複雑な家庭環境▽高額な医療費などによる経済的懸念▽進学・就職など将来への不安――などが心身に影響を及ぼすと述べた。
 原氏は、同じAYA世代患者の交流会を開いたり、SNSを利用するなど、「孤立を避け、自分に関わる人との関係を築くことが患者の心理社会的支援に重要」とまとめた。