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医師・医療関係者のみなさまへ

府医勤務医部会第8~11ブロック合同懇談会

府医ニュース

2021年2月17日 第2955号

勤務医部会活動報告
新型コロナに関する最新の知見を解説

 大阪府医師会勤務医部会では、郡市区等医師会および勤務医部会ブロック委員が意見を交換し、相互理解を深めるため、ブロック合同懇談会を毎年開催している。令和2年度は各ブロックで個別にテーマを選定することとし、第8~11ブロック(大阪市北部、西部、東部、南部)では、「新型コロナウイルス感染症」をテーマに選定。新型コロナに係る緊急事態宣言が発出されていることを鑑み、ウェブ配信により2月4日夕刻に開催し、約50人が視聴した。
 当日は、武田絋司・同部会常任委員(北野病院)が座長を務め、丸毛聡氏(北野病院呼吸器内科部長)が「実地臨床におけるCOVID―19診療up date」と題して講演を行った。はじめに、丸毛氏は世界および日本の感染状況について説明。現在の第3波は緊急事態宣言により減少傾向にあるが、第1波・第2波のピークよりも感染者は多い状況であると述べた。また、同氏が勤務する北野病院について、新型コロナの軽症・中等症患者を診る拠点病院としての役割を果たしているとして、同院における診療成績を説示した。
 続いて、新型コロナウイルスの特徴について解説を行った。感染経路は接触感染と飛沫感染が主であるが、エアロゾル発生場面においては空気感染をする可能性があると指摘。更に、発症する前の無症状期間から感染力がある点が新型コロナの特徴であるとして、欧米に比べ、マスクをする文化のあるアジア諸国では流行拡大が軽度であったと述べた。
 引き続き、診断や治療、感染予防について説述した上で、ワクチンについて解説。通常のワクチンは開発から認可までに10年以上かかることが多い中、今回のワクチンは驚異的な速さで承認された一方で、開発過程ではいずれのプロセスも省略されていない上に、効果も高いと期待を寄せた。また、アナフィラキシーも10万人に1人程度の発症率であると加えた。しかし、「免疫の継続性」「無症状感染者の予防」「他者への感染伝播の予防」など不明な点もあり、今後も感染対策は必要であると強調した。
 最後に、40歳代患者の症例を紹介。リスクのない方が新型コロナによって自己免疫性溶血性貧血および脳症を併発した事例を挙げ、新型コロナは単なる風邪ではない怖い病気であることの認識を示した。