TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

小児在宅医療研修会

府医ニュース

2021年2月17日 第2955号

重症心身障害児ケアなどオンラインで講習

 大阪府医師会・大阪府共催による「小児在宅医療研修会」が1月15日午後、開催された。今回は「在宅の重症心身障害児(者)・家族に関わる医療者の育成」を目的に実施。医師・看護師ら約140人が参加した。
 はじめに、前川たかし理事があいさつ。本研修会は、実技や施設の見学を中心に、「小児在宅医療の人材育成」を目指してきたと指摘。今年度は、初めてとなるオンライン形式で「重症心身障害児・者の支援」に力点を置き、2回に分けて伝えたいと語った。その上で、第1回となる今回は、総論や実際のケアを企画したと言及。本研修会が小児の在宅医療を担う医療機関の増加につながるとともに、日常診療の一助になればと期待を寄せた。
 総論としてまず、「重症心身障害児者の定義・原因疾患」を説明。川脇壽氏(大阪市立総合医療センター小児神経内科部長)および荒木敦氏(中野こども病院長)が講演した。その中では、▽大島分類▽重症度スコア▽年齢による変化▽痙攣・不随意運動▽知的および運動発達障害――など実例を交えて解説。あわせて、緊急時の対応として痙攣重積に触れた。
 引き続き、位田忍氏(府医小児の医療的ケア検討委員会委員長/大阪母子医療センター臨床検査科主任部長)が、「重症心身障害児の生涯支援と移行期医療・移行支援」を説明。移行期医療を考える際に重要になる「自律」と「自立」の違いや、小児と成人医療の保険システム、移行期医療支援センターの活動などを報告した。
 次に、竹本潔氏(大阪発達総合療育センター南大阪小児リハビリテーション病院副院長)が、「呼吸器的問題」「医療的ケアの実際」を詳説した。呼吸器的問題では、呼吸障害が発生するメカニズムや具体的な対応を説示。医療的ケアに関しては、気管切開カニューレ、人工呼吸器、カフアシストなどを使用する際の留意事項のほか、腕頭動脈穿破やカニューレが抜けた時などトラブル時の対応を示した。
 閉会にあたり、塩川智司氏(同委員会副委員長/四天王寺和らぎ苑施設長)があいさつ。重症心身障害児者へのサポートについては、「地域での切れ目ない支援体制」が大切と強調し、「医療は生活・人生の基盤であり、医療者として支えていきたい」と結んだ。