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医師・医療関係者のみなさまへ

近畿大学で茂松会長が講義

府医ニュース

2021年2月17日 第2955号

常に患者の気持ちに寄り添う医療を

 茂松茂人・大阪府医師会長は、今後の我が国の医療を担う医学部生に日本の医療制度および医師の業務についての理解を深めてもらうため、府内の大学医学部にて講義を行っている。今年度は関西医科大学に続く2回目として、1月28日午後、近畿大学医学部の第2学年プロフェッショナリズム・実習Ⅱにおいて、「地域医療と医師の役割」をテーマに、オンラインで特別講義を行った。
 講義開始にあたり、三井良之・同大学医学研究科教授は、「医師会の活動、そしてそれがプロフェッショナリズムとどうつながるのか」を解説いただくと趣旨を述べた。
 茂松会長はまず、西洋医学の源流をはじめ、現在の郡市区医師会や都道府県医師会が誕生した経緯を説明。令和6年度からの新千円札の肖像に、医師の北里柴三郎が野口英世に続いて描かれることは、「医療が社会に欠かせない証明」であるとした。それゆえ、信頼される医療の確立を目指して、医師自らが国民に対して「医師と医療の質保証」に責任を負う体制構築が必要であると強調した。
 次いで、保険診療の基本を説明。保険医療機関は保険者との公法上の契約の中で、保険診療を行わなければならず、逸脱した行為は指導・監査の上で行政措置があることを示し、ルールの遵守を求めた。
 なお、日本の医療は、▽国民皆保険制度▽現物給付▽フリーアクセス▽低コストで平等な医療サービス▽世界一長寿で低い乳幼児死亡率――が特徴と言述。更に先進諸国と比較して「1回受診あたりの医療費が低額で、受診回数が多い」ことから、早期発見・治療が可能であり、多くの疾患別で見た統計でも日本が最も死亡率が低いことを示した。
 その中で、医師1人の養成にどれだけの国費が投入されているかを意識し、「常に患者の立場に立った医療を行い国民に信頼される医師」となるよう心がけてほしいと述べた。現在は、高齢社会の進展に伴い、地域包括ケアの構築に対応する必要があることや、ACP(人生会議)の概念を踏まえた取り組みが普及していることにも触れた。
 そして、国民の①医療②介護③子育て④教育⑤老後――の不安を解消するのが医師会の役割とし、かかりつけ医ならびに学校医・産業医として支える役割が重要と説示。医療制度の充実のため、医師会が一致団結し、我々が目指す「患者のための医療」を守っていきたいと力を込めた。
 最後に、現在の新型コロナウイルス感染症の対策で、医師会が行っている活動や医療の逼迫、医業経営の厳しい現状などを報告し締めくくった。