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寒の水

府医ニュース

2021年1月27日 第2953号

 今まさに、大寒。
 毎日寒い日が続いています。
 この時季になると、起き抜けや晩酌の後の父に「寒の水、持ってきて」と言われたことを思い出します。寒の水はおいしいからね、と毎年のように言われていたので、耳なじみはあったのですが、先日、冬の季語であることを知りました。

ごくごくごく
 水のまことの
  寒の水
    齋藤玄

 しびれるほどに冷たく、どこまでも透徹している水、澄みきった冷たい水を、乾いた喉にゴクゴクと流しこんでいる。水を飲む音も聴こえてくるようです。
 昔は、大寒に汲まれた水は腐らないと言われたそうです。気温が低くなる時季で、水の中の不純物や雑菌が減少するからなのか、水質が良いと、大寒の日に酒や味噌の仕込みをすることが多く、今でもその風習が引き継がれています。高野豆腐やそうめん・寒天などの仕込みも行われるそうです。また、その冷たさ極まった様子から、神秘的な力があると信じられ、飲むと身体に良いと言われます。縁起物とされ、汲み置きして水を保存しておく習慣もあります。霊力を授かるためにわざわざこの時期に滝に打たれたり水を被ったりして修行する人達もいます。寒中水泳を神事として行う風習が残る地方も複数あります。
 今では、水を飲むというと、大抵ペットボトルのミネラルウォーターですが、冬場は空気が乾燥しているためじっとしていてもどんどん水分が失われていきます。つい怠りがちですが、冬場こそ水分補給を心掛けた方がいいようですね。
(颯)