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時事

第12回全世代型社会保障検討会議開催

府医ニュース

2021年1月27日 第2953号

後期高齢者の2割負担範囲決定

 第12回全世代型社会保障検討会議が令和2年12月14日に官邸2階大ホールにて開催され、菅義偉内閣総理大臣、西村康稔担当大臣と、麻生太郎財務大臣を含む14人の構成員が出席した。
 会議では、全世代型社会保障改革の方針(案)について議論が行われた。資料内容には第1章「はじめに」の「これまでの検討経緯」「全世代型社会保障改革の基本的な考え方」に次いで、第2章「少子化対策」で「不妊治療への保険適用等」「待機児童の解消」「男性の育児休業の取得促進」が記載された。
 続く第3章「医療」において、①「医療提供体制の改革」では、今般の新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえ、有事に必要な対策が機動的に講じられるよう、都道府県の医療計画に新興感染症等への対応を位置付ける。地域医療構想については、中長期の医療需要の変化を見据え、各医療機関の役割分担を継続的に協議する基本的枠組みは維持し、その財政支援等を行うとした。当日の議員の発言においても、新型コロナウイルスの感染拡大により、医療や介護の現場が大変疲弊しており、政府の適切かつ迅速な対応を求める意見が出た。現状では高度急性期のみならず急性期病床の不足は明らかで、見直しが必要となっており、日本医師会の対応を注視したい。
 一方、医療資源を多く活用する外来に着目して、医療機関が都道府県に外来機能を報告する制度を創設し、地域の実情に応じて、紹介患者への外来を基本とする医療機関を明確化する。あわせて、医師の働き方改革、医療関係職種の専門性を生かした医療提供体制の推進、医師偏在に関する実効的な対策を進めるとした。
 ②「後期高齢者の自己負担割合の在り方」では、何よりも優先すべきは、有病率の高い高齢者に必要な医療が確保されることであり、他の世代と比べて、高い医療費、低い収入といった後期高齢者の生活実態を踏まえつつ、窓口負担割合の見直しにより必要な受診が抑制されるといった事態が生じないようにすることが不可欠である。これらを総合的に勘案し、後期高齢者(75歳以上。現役並み所得者は除く)であっても、課税所得が28万円以上(所得上位30%)および年収200万円以上(単身世帯の場合。複数世帯の場合は、後期高齢者の年収合計が320万円以上)の方に限って、その医療費の窓口負担割合を2割とし、それ以外の方は1割とすることを示した。施行時期は令和4年度後半で、政令で定める。また、2割負担への変更により影響が大きい外来患者について、施行後3年間、ひと月分の負担増を、最大でも3千円に収まるような措置を導入する。
 議員からは改革の成果をデータでしっかりフォローアップしつつ、更なる改革推進、検討継続の必要があるとの意見が複数述べられた。すなわち、負担増による受診抑制の結果として手遅れや重症化を来し、高額な入院等の医療を必要とすることになれば、医療費の増加を招くこととなる。また、以前に本欄で指摘した大企業の組合健保と協会けんぽや国民健康保険の保険料負担額の格差は問題として残っている。
 ③「大病院への患者集中を防ぎかかりつけ医機能の強化を図るための定額負担の拡大」では、「紹介患者への外来を基本とする医療機関」のうち一般病床200床以上の病院にも対象範囲を拡大する。
 同日午後8時15分から、西村大臣は記者会見を行い、改革方針の取りまとめを報告した。(中)