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医師・医療関係者のみなさまへ

調査委員会だより No.75

府医ニュース

2021年1月20日 第2952号

日本の社会保障について(4)現在の医療・介護における費用負担について 文 島田 永和(羽曳野市)

 前回(本紙第2948号)は、国民皆保険制度という特色を持つ日本の医療制度について、「存続させるべきか、また、その存続可能性は?」という設問の結果をまとめました。「存続させるべき」という意見が多い一方で、存続可能性に関しては、1割超の割合で危惧する意見もありました。
 今回は、現在の医療における費用負担に対する評価の調査結果をご紹介します。
 結果は、「安い」と「妥当」は(現状)容認層、「高い」は(現状)否認層と考えると、医療の窓口負担では半数以上が容認層ですが、32.4%は「高い」という否認層になります。医療の保険料負担については容認層が43.9%、否認層が41.2%と拮抗しています。いずれも「わからない」という回答は13~15%程度でした。
 大阪府医師会調査委員会が行った平成23年のエリアサンプリングでの調査結果と比較すると、窓口負担に対する容認層が46.8%から53.9%に増加し、否認層は42.7%から32.4%に減少しています。保険料負担においても、容認層は29.9%から43.9%に増え、否認層は61.0%から41.2%に減少しました。財政面の厳しさについての認知度が上がり、制度の存続に関する議論が行われている中で、負担が高いと考える人が減り、妥当や安いという意見を持つ人が増えたと解釈できるのではないかと考えています。
 これに比べて、介護についての設問では、自己負担と保険料のいずれも、容認層はそれぞれ25.2%、26.5%であり、否認層は37.2%、39.6%と高くなっています。医療から介護へのサービス移行を進めるとなれば、費用負担に関する両者の相違を検証して、サービスを受ける側にとって負担感の段差がなくなるような工夫が求められるのではないでしょうか。