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医師・医療関係者のみなさまへ

12月度郡市区等医師会長協議会

府医ニュース

2021年1月20日 第2952号

 12月度郡市区等医師会長協議会(令和2年度第9回)が12月18日午後、大阪府医師会館で行われた。以下は茂松茂人会長あいさつ(要旨)。

 新型コロナウイルス感染症が依然として猛威を振るっている。年末恒例の「新語・流行語大賞」の年間大賞に「3密」が輝き、清水寺で毎年発表される漢字には「密」という字が選ばれた。今年(令和2年)の世相をよく表している。しかし、緊急事態宣言が発せられ、その解除とともに出てきた「新しい生活様式」は、こころの健康を害したという深刻な声も届いている。
 その中で、政府は第3次補正など40兆円の財政支出を閣議決定した。今回の内容には、受診減少が続く小児科への支援(初・再診料に1,000円上乗せ)なども盛り込まれている。内閣府が発表した「世界経済の潮流」は、今回の新型コロナの感染拡大による世界経済への影響について、「戦前の大恐慌や平成20年のリーマンショックを上回るほどのショック」だと評した。各国でも巨額の新型コロナ対策費を計上したが、日本の対策費の規模は他国に比べて異常に巨額であり、アフターコロナのことを考えると、いずれはその反動が来るのではないかと懸念している。
 なお、府医は、この難局を乗り切るため、新型コロナ患者受け入れの中核を担う在阪5大学附属病院や公的病院、および病院団体・有識者に参画を願い、「地域医療確保・新型コロナウイルス感染症対策専門家会議」を12月13日に開催した。行政主導ではなく、医療現場を預かる専門家同士で情報交換を行い、医療崩壊を避けることが最大の目的である。本会議では、現状把握を行った上で意見交換を行い、その結果をまとめた「今後の新型コロナ対策・地域医療の在り方」などに関する要望書を国や大阪府へ提出した。
 また、海外で開始されたワクチン接種については、日本ではその有効性、安全性が十分に確認できた上で開始されるが、横浜市立大学が「新型コロナ感染者の98%に体内に半年後も感染を防ぐ抗体が残っている」とする調査結果を発表していることから期待が持たれる。
 更に、政府は12月14日に全世代型社会保障検討会議を開催し、焦点であった75歳以上の窓口負担増などを盛り込んだ最終報告をまとめた。翌15日には、後期高齢者の窓口負担を2割に引き上げる際の線引きとなる所得基準を「単身で年収200万円以上」とすることを閣議決定したが、高齢者の少ない生活費からの2割の医療費負担は非情なことである。
 今回、新型コロナを経験して一番感じるのは、普段から余裕のない医療体制の中で対応していることを、国に考えてもらいたいということである。社会保障・医療をより充実させなければならないことを我々は強く要請していく必要がある。この1年間、本当に大変であったが、新型コロナは、我々医療界が一致団結して乗り越えていかねばならず、引き続きご支援、ご協力をお願いしたい。