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小児救急医療研修会

府医ニュース

2021年1月20日 第2952号

重症化しやすい疾患の把握が大切

大阪府医師会主催、大阪小児科医会後援による「小児救急医療研修会」が12月17日午後、府医会館で開かれた。本研修会は休日・夜間急病診療所での小児科医の確保が難しい状況から、内科を中心に出務医師の協力を募ることを目的に実施。3回シリーズでの開催となっており、最終となる今回は、発熱やけいれんの対応について伝達し、約50人が参加した。
 当日は池田和茂氏(府医救急・災害医療部小児救急医療検討委員会委員)が座長を務め、はじめに加納康至副会長があいさつ。後援の大阪小児科医会の多大な協力に謝意を述べた。あわせて、休日・夜間急病診療所等の運営が厳しい状況に言及。現状の理解が深まり、多くの医師が夜間の診療体制強化に協力してほしいと訴えた。
 続いて、温井めぐみ氏(大阪市立総合医療センター小児神経内科医長)が、「小児の主な感染症・発熱、けいれんへの対応」と題して講演。自身の経験を交えながら、診療のポイントを解説した。まず、小児救急の特徴として、▽軽症が多い▽病勢の進行が早く、緊急度・重症度の予知が困難▽主訴が不明確――などを指摘。保護者の不安を取り除くことも大事な要素であり、疾患や経過を記載したパンフレットの活用や、必要に応じて入院を勧めるよう促した。
 次いで、感染症発生動向調査情報に注目することをアドバイス。流行状況の把握が診断のヒントにつながるとした。また、令和2年は新型コロナウイルス感染症の影響もあり、「小児の感染症は激減した」と報告。一方で、休校や在宅期間の長期化など社会的要因による健康被害が散見されたと語った。
 講演では、「急病診療所で鑑別すべき疾患」として、新型コロナを説明。多くは無症状であり、発熱等の症状よりも家庭内環境から判断すべきとの見解を示した。そのほか、▽インフルエンザ▽流行性耳下腺炎▽水痘▽咽頭結膜熱(プール熱)▽手足口病――など、様々な疾患の特徴や治療法を詳説した。更に、「けいれんは30分以上持続すると後遺症を残す」と注意を喚起。発作を止めることが先決であり、その薬剤としてミダゾラムを挙げ、効果がなければ至急後送するよう要請した。
 最後に、小児科診療にあたっては、重症化しやすいなど「注意すべき疾患」を知っておくことが大切だと強調。第一印象や保護者の不安は大事な判断材料であり、常に急変時などの後送も視野に入れて診療することが重要とまとめた。