TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

新年のごあいさつ

大阪府医師会 副会長  加納 康至

府医ニュース

2021年1月6日 第2951号

感染症対策が与えた試練――医師会活動が一層重要に

 明けましておめでとうございます。1年前には想像もしなかったCOVID―19のパンデミックの中で、例年とは異なった新年をお迎えになったのではないでしょうか。
 この流行で私達は、生活の様々な面で変化を迫られました。安全なワクチンや治療薬の出現がいつになるかは不透明ですが、たとえ開発されたとしても、また「元の生活スタイル」に戻ることは考えにくいと思います。人との接触をできるだけ減らす「スタイル」は、感染防止の面だけではなく、日常生活の利便性を高める面もあると思われるからです。
 そのような中で、私達医療に携わる者は、流れに流されるのではなく、本当に必要な変化は何かを見極めていくことが大切だと思っています。ご存じのように一度変えられた制度は元には戻せないからです。例えば、診療のオンライン化は有事における緊急避難的運用や遠隔地医療などにおける有用性は認められていますが、日常診療での運用には解決すべきことがたくさんあります。ICTの活用や情報のデジタル化は、セキュリティーの不確実性や、情報の集積化によって管理社会、ひいては監視社会につながるのではという危惧があります。今回の感染症対策における試練は、我々が今後考えていくべきことは何かということを考えさせてくれる良い機会だと思いたいです。
 ここ数年の問題であった、医師の働き方改革、地域医療構想、専門医制度の問題、医療保険制度における給付と負担のバランスなど解決すべき課題は、修正が必要であることは明らかで、医師会の考え方、政府や国民への働きかけ方がますます重要になります。一方「医師会の活動」の中にも新たな対応が必要なものも出てきました。昨年は人の集まる行事・事業の多くが中止や延期せざるを得ませんでした。庶務担当としては、ICT環境の整備にもっと積極的であればという反省をしながら、現在はリモートで行える会議や講演会、講習会に対応できるよう準備、かつ試験運用など環境整備中であります。このような環境が整うことで、ほかの担当業務についても対応に遅れが生じたり、ご不便をおかけすることが減らせるのではないかと思っております。もちろん、セキュリティーには万全を図りながらですが。
 本年もこの難局を乗り切るべく頑張って参りますので、皆様のご支援ご指導を賜りますようお願い申し上げ、新年のごあいさつとさせていただきます。