TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

新年のごあいさつ

大阪府医師会 副会長  高井 康之

府医ニュース

2021年1月6日 第2951号

経済優先より、まずは医療の確保を

 明けましておめでとうございます。昨年は新型コロナウイルスに振り回された1年でしたが、会員およびご家族の皆様におかれましては、お元気に新年をお迎えのことと存じお慶び申し上げます。
 中国から始まり、当初日本や東アジアで拡大した新型コロナウイルス感染症は、グローバリズムをあざ笑うかのように、またたく間に全世界に拡大していきました。かつて人類が経験したペストやスペイン風邪などの感染症より非常に短期間で世界に広がり、利便性や経済優先の現代社会は、新興感染症に対して非常に脆弱であることが再認識されました。現代において新興感染症は、対岸の火事では決してなく、世界が緊密に協力して対策を考え、対応していくことがますます重要になると存じます。
 我が国では、欧米諸国に比し人口当たりの感染者数が比較的少ない状況でしたが、第1波、第2波、第3波と進むにつれ感染者数が急増してきました。政府や知事らは、感染拡大対策と経済対策は車の両輪と言ってきましたが、GoToキャンペーンに代表されるように経済重視であったことは否めません。目先の小手先の経済対策より徹底した感染対策を優先させ少しでも早く収束させた方が、経済にとっても傷が浅く済むのではと思います。
 このような状況にあっても、オンライン診療の初診までも恒久化することや後期高齢者の窓口負担割合を2割に拡大するなど、今後の国民医療に多大な影響を与える政策を医療関係者や国民の意見を無視して推進しようとしております。新型コロナウイルス感染症を恐れるあまり医療機関への受診控えが拡大している現状で、これからますます受診遅れが増え、新型コロナ以外の傷病の治療も手遅れになることが懸念されます。
 政府や自治体には、医療関係者や専門家の意見を真摯に受け止めていただき、医療体制や医療制度を誤った方向に導かないことを願うばかりです。
 COVID―19に対するワクチンが有効で安全なものであって、新型コロナウイルス感染症が収束に向かい、本年が会員、国民にとって幸せで明るい1年となることをお祈り申し上げます。