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時事

2類相当以上からダウン?

府医ニュース

2020年9月16日 第2940号

COVID―19 指定感染症位置付けの行方

 9月2日、厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリー・ボードの第7回会合が開催され、「指定感染症としての措置・運用のあり方に関するワーキング・グループ」の設置が決まった。8月28日に新型コロナウイルス感染症対策本部が決定した今後の取り組みにおいて、感染症法に基づく権限の運用について、政令改正も含め柔軟に見直しを行うとされていた。
 感染症法(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律)では、各感染症は1~5類の類型に位置付けられ、講ずることができる措置があらかじめ定められている。規定されていない感染症で、まん延により国民の生命および健康に重大な影響を与えるおそれがあるものについては「指定感染症」として、講ずる措置を〝政令〟で〝個別〟に指定できる。措置は新しい知見を踏まえ、政令改正により変更可能である。期間は〝1年以内〟で特に必要な場合、1年以内に限り延長することができる。ちなみに、SARS、MERSは、指定感染症とされた後、法改正が行われ、現在は2類感染症に定められている。
 新型コロナウイルス感染症は、厚生科学審議会感染症分科会での議論の後、指定感染症に指定(2月1日施行)、結核やSARS、MERSなど2類感染症相当の措置がとられることとなった。その後2度の政令改正により、2類感染症では行われない、無症状病原体保有者への適用(2月14日施行)、建物の立ち入り制限・封鎖、交通の制限、発生・実施する措置等の公表、健康状態の報告、外出自粛等の要請、都道府県による経過報告が追加適用(3月27日施行)され、現在に至っている。2類感染症相当〝以上〟とされる所以である。また、新型インフルエンザ等対策特別措置法改正(3月14日施行)および政令により、令和3年1月31日まで暫定的に同法の適用対象となっている。ただし改正法では期間を施行後2年以内としているため、政令で延長可能である。
 今回の見直しの大きな目的は、入院勧告等の運用、すなわち、軽症者や無症状者について宿泊療養 (適切な者は自宅療養)での対応を徹底し、医療資源を重症者に重点化するためとされている。更に今後、季節性インフルエンザとの判別が困難となる中で、疑似症患者の届け出が医療機関に負担との懸念も出されている。一方でやり方によっては、例えば5類(相当)となれば、都道府県の対策は調査のみとなり、入院勧告や感染者の隔離は不要、入院施設や宿泊療養施設の確保は免れ、行政検査や濃厚接触者の追跡、クラスターつぶしの作業はなくなり、医療費の都道府県負担もなくなる。医師の報告義務もなく、まん延を許容したことになりかねない。8月27日、関西の8府県と4政令指定都市で構成される関西広域連合は、5類などにダウングレードすることは時期尚早との声明を出している。
 国は〝新たな知見を踏まえ〟ての見直しを強調しているが、〝突然の重症化〟への対応がいまだ不十分なままの地域への丸投げはリスクが極めて大きく、現場が納得できる役割分担を徹底して追求すべきであろう。(学)