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医師・医療関係者のみなさまへ

周産期医療研修会

府医ニュース

2020年8月19日 第2937号

小児外科に関する知見を共有

 大阪府医師会・大阪産婦人科医会の共催により、6月20日午後、令和2年度第2回周産期医療研修会が府医会館で開かれた。本研修会は大阪府委託事業として実施。今回は「小児外科の最前線」をテーマに開催し、医師・看護師ら医療関係者51人が参加した。
 開会にあたり笠原幹司理事があいさつ。日頃の周産期緊急医療体制への理解・協力に謝意を表明した。また、第1回が新型コロナウイルス感染症の影響で延期となり、「本研修会が今年度実質第1回である」と説明。研修会の再開にあたっては、「3密」の回避など感染防止に注意を払いながら行うと加えた。
 大橋敦氏(関西医科大学附属病院小児科准教授)と吉松淳氏(国立循環器病研究センター産婦人科部長)が座長を務め、土井崇氏(関西医科大学附属病院小児外科教授)が「新生児内視鏡外科手術の挑戦」と題して講演。新生児の食道閉鎖症および先天性横隔膜ヘルニアに対する低侵襲内視鏡外科手術を動画に基づき解説した。更に、同院の「最先端8K内視鏡外科システム」を紹介。従来は確認できなかった微細な血管まで映すことが可能で、安全性の飛躍的向上とともに、術後のQOLを見据えた臓器機能温存に寄与していると述べた。
 続いて、臼井規朗氏(大阪母子医療センター小児外科診療局長)が「先天性横隔膜ヘルニアの治療成績」と題して講演を行った。臼井氏はまず、同疾患はその重症度により治療計画を変えていると言及。「重症度分類に基づいた評価が重要」と出生前診断の意義を説き、あわせて出生前に鑑別すべき疾患を示した。また、全国調査と同センターの治療成績と長期予後を報告。約6割の患者は退院後にひとつ以上の長期合併症を持つとして、「長期的に見ていく必要がある疾患である」とまとめた。