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医師・医療関係者のみなさまへ

調査委員会だより No.70

府医ニュース

2020年8月5日 第2936号

在宅医療関連の診療報酬について 文 岩本 伸一(東成区)

 在宅医療に取り組む医師は増加傾向にあると本紙第2927号の本欄で報告した。では医師は在宅関連の診療報酬設定に関してどのように考えているのだろうか。
 全体像では「適当であると思う」22.6%、「安いと思う」22.4%、「高いと思う」5.9%、「わからない」47.3%であった。しかしながらこれを訪問診療を行っている診療所長に限ってみると「適当であると思う」39.9%、「安いと思う」34.1%、「高いと思う」4.0%、「わからない」16.2%であり、「適当ないしは安い」とする意見が多数を占めていた。一方、往診のみ行っている診療所長は「安いと思う」が4.5%とあまり不満は無さそうである。面白いことに訪問診療を行っていない診療所長は「高いと思う」が10%強存在していた。
 自由回答では「複雑な報酬設定でわかりづらい」「算定が難解で在宅医療に参入しにくい」「診療報酬が高いか安いか不明」などの声が相次いでいた。また「看取りもしない在宅医の評価が不当に高い」という批判的な意見も見られた。
 改定ごとに変わる在宅関連の診療報酬設定の複雑さは、医療をビジネスと捉える人々にとっては恰好の材料でもある。今後、看取りまでしてあげようと良心的に在宅医療に取り組もうとする医師にとって、診療報酬に関するより正しい理解や算定の平易化がないと参入に足踏みが生じる可能性がある。地区をはじめ医師会が在宅関連の診療報酬算定方法や正しい在宅医療の取り組み方などの研修会をどんどん企画することが在宅医療推進に欠かせない要素でもある。