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医師・医療関係者のみなさまへ

布施緩和ケア研修会

府医ニュース

2020年8月5日 第2936号

コロナ禍での「寄り添い」考える

 布施医師会(松山浩吉会長)は6月13日夕刻、同医師会館で第20回となる「布施緩和ケア研修会」を開催した。今回は新型コロナウイルス感染防止の観点から、オンラインで実施。医師・看護師ら約60人が参加した。
 オンライン配信による研修会は、同医師会として初の試み。役職員らの協力で入念に準備が整えられ、参加者へ動画で配信された。当日は同医師会緩和ケア担当理事の川邉正和氏の司会で進行し、はじめに柏井朗氏(同医師会副会長)があいさつ。コロナ禍であっても緩和ケアが必要な方への寄り添いは不変であり、研修会を通じてステップアップしたいと述べた。
 次いで、川上尚人氏(近畿大学医学部内科学教室腫瘍内科部門)が、「新型コロナウイルスの現況、感じること」と題して講演。まず、新型コロナウイルス感染症(新型コロナ)流行時のがん診療に関するアンケートから、治療の延期については、組織的な対応ではなく、「患者との協議の中で柔軟に対応していた」との結果が述べられた。その上で、がん関連3学会(日本癌学会、日本癌治療学会、日本臨床腫瘍学会)合同連携委員会新型コロナウイルス(COVID―19)対策ワーキンググループが作成した指針に基づき、▽細胞傷害性抗腫瘍薬▽分子標的薬▽免疫療法――に関する見解を提示。新型コロナ流行時はプライオリティ(優先順位)・リスクを勘案した治療を行うべきとした。また、合併症のひとつである薬剤性肺炎に触れ、「画像では新型コロナとの鑑別は困難」と指摘。肺炎症状を確認した際には、PCR検査と同時に抗菌剤での治療が望ましいと加えた。
 引き続き、事例検討が行われた。川邉綾香氏(かわべクリニック看護師)より、新型コロナの感染拡大を受け、家族との面談が不可となった緩和ケア病棟に入院中の患者の事例を紹介。家族の希望で在宅療養に移行した際に、どのようなケアが行えるかをグループで検証した。
 最後に、松山・布施医師会長が、患者の最期に寄り添う医療・福祉従事者らに謝辞を述べ、「今後も緩和ケアの取り組みを多職種で学び、進めたい」と結んだ。