TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

時事

全世代型社会保障検討会議(第9回)開催

府医ニュース

2020年8月5日 第2936号

第2次中間報告(案)の取りまとめ

 第9回全世代型社会保障検討会議が6月25日に官邸4階大会議室にて開催され、昨年12月の中間報告以降の検討結果を整理し、2回目の中間報告の取りまとめを行った。
 昨年末の中間報告に基づき、通常国会で、70歳までの就業機会の確保について、事業者に努力を求める法律が成立し、大企業に対しては正規労働者の経験者採用、いわゆる中途採用比率の公表を義務付けた。次いで、短時間労働者の厚生年金の適用範囲を段階的に50人を超える規模の企業まで拡大するとともに、年金の受給開始時期の選択肢を75歳まで引き上げる法律が成立した。更に、疾病予防や介護予防の取り組み強化のために、交付金を大幅に増額した。
 2回目の中間報告の内容は、第1に、フリーランスについて適正な拡大を図るための保護ルールの整備を決めた。第2に、少子化対策については少子化社会対策大綱に基づいて速やかに着手をしていく。第3に、介護については、介護サービスにおけるICTなどのテクノロジーの活用、文書の簡素化・標準化、ビッグデータの整備の活用を進めていく。第4に、感染症拡大を踏まえての意見を整理した。
 本会議の最終報告は本年末に行うこととして、医療については昨年末の中間報告で示された方向性や進め方に沿って更に検討を進め、最終報告において取りまとめる。すなわち、『(1)医療提供体制の改革』では、▽地域医療構想の推進▽地域間・診療科間の更なる医師偏在対策▽卒前・卒後の一貫した医師養成課程の整備▽地域における看護職員をはじめとする医療関係人材の確保・育成▽看護師・歯科衛生士等の復職支援・定着の推進▽医師・歯科医師等の働き方改革▽医療職種の役割分担の見直し――により、地域差を伴う「高齢化による需要拡大」と「支え手減少」の進展などの環境変化に対応し、質の向上と効率改善を図り、地域で必要な医療を確保する。
 『(2)大きなリスクをしっかり支えられる公的保険制度の在り方』の①後期高齢者の自己負担の在り方では、後期高齢者(75歳以上。現役並み所得者は除く)であっても一定所得以上の方については、その医療費の窓口負担割合を2割とし、それ以外の方は1割とする。その際、高齢者の疾病、生活状況等の実態を踏まえて、具体的な施行時期、2割負担の具体的な所得基準とともに、長期にわたり頻繁に受診が必要な高齢患者の生活等に与える影響を見極め適切な配慮について検討を行う。
 ②大病院への患者集中を防ぎかかりつけ医機能を図るための定額負担の拡大では、更なる検討の必要性が示されている。現行では、文書による紹介がない患者が大病院を外来受診した場合に初診料5千円・再診料2500円以上(医科の場合)の定額負担を求めている。今後、これらの負担額を踏まえてより機能分化の実効性が上がるよう、患者の負担額を増額し、増額分について公的医療保険の負担を軽減するよう改める。加えて、大病院・中小病院・診療所の外来機能の明確化を行いつつ、それを踏まえ対象病院を病床数200床以上の一般病院に拡大するとされた。
 日本医師会の新執行部が以上の案件に適切に対処することを望みたい。(中)