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府医ニュース

2020年7月29日 第2935号

 ◆7月の半夏生(はんげしょう)は盛夏の入口に当たる節目。農作業を休み、半夏餅を田の神に供える伝承行事が南河内・大和にある。
 ◆半夏生の頃に降る雨(半夏雨)は、大雨(半夏水)となることが多い。つまり、線状降水帯を指す。例年、河川の氾濫で痛ましい被害が出ている。想定を超える増水で、補強を重ねた堤防が欠壊することも少なくない。
 ◆中世戦国時代の治水技術「霞堤・かすみてい」が見直されている。堤防の一部に開口部を設ける。増水した際、開口部からの流れは開口部外側の二番堤で遊水地へ誘導し、堤防を守る。遊水地には上流からの肥えた土が運ばれる。遊水地に人家を置かなければ被害は免れる。田畑の場合は土地が肥える。
 ◆近年ことに激甚化する氾濫被害を既存のハードで防ぎきることは難しい。霞提と遊水地のように環境と共生することを目指す古来の防災策に立ち帰ることか。COVID―19対策でもウイルスとの共生の道を探ることになる。ただし、遊水地に住むという愚は無しとしよう。(翔)