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時事

保険料率の差が拡大

府医ニュース

2020年6月3日 第2930号

協会けんぽの保険料率改定

 中小企業が加入する協会けんぽの保険料率が3月分(4月納付分)から改定され、関西2府4県で保険料率の差が広がっている。すなわち最高の大阪府は10.19%から10.22%に上昇し、最低の滋賀県は9.87%から9.79%に低下したため、料率の差が0.32%から0.43%に拡大した。保険料は労使折半のため企業、個人ともに大阪府での負担の増加が懸念される。関西の府県ではこのほか、京都府が据え置きの10.03%、兵庫県も据え置きの10.14%、奈良県が0.07%引き上げて10.14%、和歌山県が0.01%引き下げて10.14%となる。
 全国で比較した場合では、今年度の最高は佐賀県で10.73%、最低は新潟県で9.58%となり、その差は1.15%と大きい。全国平均は10.00%で、関西では滋賀県のみが全国平均を下回っている。都道府県ごとの保険料率は地域の加入者の医療費に基づいて算出されているため、都道府県の医療費が下がれば、その分、都道府県の保険料率も下がることになっている。更に、平成30年度よりインセンティブ制度が導入され、加入者および事業主の特定健診や特定保健指導、ジェネリック医薬品の使用割合等の取り組み結果が保険料率に反映されていることに注目すべきである。
 インセンティブ制度の概要は、①制度の財源として、新たに全支部の保険料率の中に0.01%を盛り込んで計算する。この0.01%については3年間で段階的に導入され、令和2年度保険料率に盛り込む率は0.004%、3年度保険料率に盛り込む率は0.007%、4年度保険料率に盛り込む率は0.01%となる。
 ②各支部の評価指標(先述の特定健診受診率など)の実績に応じて得点を付け、その得点をランキング付けし、47支部中上位23支部に①を財源とした報奨金を充てることによって保険料率を引き下げる。なお、関西では滋賀県のみが上位16位に入っている。
 大阪府で保険料率が上がるのは、加入者の総報酬の伸びに比べて医療給付費の総額の伸びが大きいと見込んでいるためで、協会けんぽ大阪支部はジェネリック医薬品の利用拡大や特定健診の受診率向上を呼びかけている。
 協会けんぽは平成21年度に保険料率を全国一律から都道府県別に切り替え、地域ごとに医療費の抑制を促そうとした。一方で、格差が急に広がらないように経過措置を講じてきたが、令和元年度で終了することとなり、保険料率の変動を注視して行くことが必要である。
(中)