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医師・医療関係者のみなさまへ

拡大鏡

府医ニュース

2020年6月3日 第2930号

 ◆新型コロナウイルスの長い第1波が収まりを見せ、初夏を感じる今、漸く社会も恐る恐る動き出そうとしている。
 ◆これまでの日本の犠牲者は、世界的に多いわけではないが、世界の指導者の感染対応の評価を尋ねた国際比較調査では、日本は最下位であったという。入国制限措置や緊急事態宣言といった感染防止対策の遅れや、お粗末なマスクの配布、実効性に乏しい給付金、助成金など、確かに国民にとって利を実感することは薄い。
 ◆最も理不尽な対応は、コロナ禍にあったPCR検査である。整わない検査体制と硬直した検査基準で、明らかな疑い患者も容易に検査が受けられず、医療現場にも不安を増長させた。加えて、検査を増やすと医療崩壊を招くといった、医療倫理からは本末転倒の理屈がまかり通っていた。
 ◆今回は、混乱の中、医療崩壊への憂慮に救われたが、同じ対応を繰り返せば、次は医療への信頼にもかかわる。第2波以降に備えて、通常医療も確保ができる、新たな医療提供体制を早急に構築しておく必要がある。(誠)