TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

糖尿病日常診療の進め方研修会

府医ニュース

2020年5月27日 第2929号

「健康寿命」の確保が大切

 令和元年度糖尿病日常診療の進め方研修会が1月29日午後、大阪府医師会館で開催され、会員ら約80人が参加した。本研修会は、府医および大阪糖尿病対策推進会議の主催で年2回実施。第2日となる今回は、「よりよい糖尿病コントロールを目指して」をテーマに掲げ、講演と質疑応答を行った。
 まず、福田正博氏(大阪糖尿病対策推進会議幹事/ふくだ内科クリニック院長)が司会・座長を務め、矢野隆子理事が開会あいさつ。大阪府における特定健診の受診率の低さに触れ、糖尿病の早期発見・治療に向けて一層の協力をお願いしたいと述べた。
 続いて、浜本芳之氏(関西電力病院糖尿病・代謝・内分泌センター長)が「令和の2型糖尿病治療――体重や体組成にも配慮した治療」と題して講演した。近年は、糖尿病患者と健康な人の平均余命に大きな差はないとするデータもあると述べ、これからの糖尿病治療では「健康寿命」の確保が大切と指摘。血糖管理に加え、食事・運動・薬物療法によって、合併症の予防や筋肉量の維持を図ることが求められるとした。あわせて、高齢者に関しては、生活習慣病対策からフレイル対策へのギアチェンジが必要と説明。糖尿病患者は、加齢に伴う筋肉量の減少が更に加速するとし、たんぱく質の摂取が重要と強調した。また、「食べる順番」と食後の血糖上昇・胃排出・インクレチン分泌との関係に言及。食物によって消化管機能を活性化し臓器を丈夫にして、健康長寿につなげてほしいと述べた。最後に、加齢に伴う心疾患のリスクにも触れ、DPP―4阻害薬・SGLT2阻害薬などによる心血管への作用や、腎機能の保護作用を解説。早期介入によって合併症を予防し、「高齢になっても元気で生活を送ってもらうことが目標」と語った。