TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

調査委員会だより No.67

府医ニュース

2020年5月27日 第2929号

意外!! 新型コロナ大流行の最中でも医療費抑制政策が支持されている
文 鈴木 隆一郎(大阪府庁)

 我が国において、新型コロナウイルス感染症(COVID―19)の新規感染者数の増加が大きく目立ち始めた4月3日から6日にかけて、大阪府医師会調査委員会はインターネットによる「日本の社会保障に関する府民調査」を行いました。この中で、同感染症の流行により我が国でも医療崩壊の危機が迫っている現状に注意を喚起し、その上で、政府が超高齢社会の到来を理由に医療費抑制政策を進めていることに対する賛否を尋ねてみました。
 全体としては、「賛成」と「やむを得ない」の合計、すなわち「是認」派は48%、「反対」派は52%とほぼ拮抗しています。しかしこれを年齢別にみると、例えば30代では「是認」派59%、「反対」派41%、70代では「是認」派40%、「反対」派は60%のように、若い人々では是認が多く、年齢とともに反対が増加して、その割合が逆転する傾向が明らかです。
 この調査開始の直前に人気者のコメディアン志村けん氏がこの感染症で亡くなり、調査終了の次の日には安倍首相が7都府県に緊急事態宣言を発出しました。これほどの危機感の高まりの中でさえ存在する医療費抑制政策に対する府民意識の年齢階層による分断を医師会員の皆様はどのようにお考えでしょうか? 新型コロナともやがては共存する時代がくるでしょう。若い人々も必ず老いることを考えると、私は、この年齢階層による意識の分断に、より強い危機感を抱いています。