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医師・医療関係者のみなさまへ

4月度(緊急)郡市区等医師会長協議会

府医ニュース

2020年5月20日 第2928号

新型コロナをテーマに協議

 大阪府医師会では、郡市区等医師会長協議会を原則毎月第4金曜日に開催しているが、3月・4月度は新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の影響を加味し、実施を見合わせていた。一方で、感染者数の増加やPCR検査の拡充、地域での取り組み拡大などの現状を踏まえ、各医師会と情報を共有する必要があると判断。4月30日午後、新型コロナに焦点を絞り、府医会館で同協議会を実施した。

PCR・ホテル出務を要請

 当日は栗山隆信理事の司会で進行し、はじめに茂松茂人会長があいさつ。緊急事態宣言下ではあるが、急遽開催するに至った背景に理解を求めた。また、世界の情勢に触れる中で、我が国の新型コロナ対策は中途半端だと断じ、「感染防止には決断力が重要になる」と強調した。その上で、府医としてドライブスルー・ウォークイン方式によるPCR検査や、軽症・無症状者が療養するホテルへの出務などを開始したと言及。大阪府全域で協力を募り、一致団結して対応していきたいと力を込めた。
 新型コロナ対策に関して、まず鍬方安行理事が重症例および入院調整の現状を報告。大阪府内においても院内感染によるクラスターの発生など、重症例が確認されており、「組織的な対応が急務」と述べた。また、「大阪府新型コロナウイルス対策本部」での検討状況を説示するとともに、フォローアップセンターを中心に中等症・重症例の入院調整を行っていると指摘。これと連動する形で、救急指導医指定施設等の連絡網を整備し、各医療機関における重症者の受け入れ状況を一目で把握できるようにしたと加えた。こうした取り組みで機動的な対応が可能となり、現時点では安定的な医療を提供できているが、鍬方理事は「危機的状況は目前」と警告。新型コロナの更なる拡大は、一次救急にも影響すると懸念し、「すべての医師が継続的に協力して対応する必要がある」と結んだ。
 引き続き、宮川松剛理事が「現状と対策」の観点から説明。1月30日に設置した「新型コロナ対策本部」をはじめとする府医の対応を振り返った。府医では、早い段階で研修会を開催し、パンデミックを予測。マスクや消毒薬の不足を見越し、日本医師会へ確保の要請を行うとともに、治療法の開示などを求めたと明かした。また、PCR検査の不適切事例を収集し、日医へ報告したと言及。あわせて、大阪府の市町村長に対して適切に検査が実施されるよう要望書を提出したと述べた。
 次いで宮川理事は、新型コロナを巡る大阪府・大阪市との協議に触れ、医療現場の状況が反映されない姿勢に苦言を呈しながらも、「大阪府民の健康を守るには、行政との連携が必須」と発言。補償など契約面に不安は残るものの、ドライブスルー・ウォークイン方式によるPCR検査や、軽症・無症状者が療養するホテルへの出務などに踏み切ったとした。更に、自宅待機となる患者については、病状悪化時の本人の危険性はもとより、医療機関へ入院することになれば一般病床が不足する点や救急搬送に支障を来すことなどを示唆。ホテルでの待機が重要であり、「大阪府全域で協力していきたい」と訴え、積極的な出務を依頼した。

質疑応答を展開、補償面など説明

 その後の質疑応答では、ホテルへの出務に関する疑義が多数挙がり、壇上の茂松会長、宮川・鍬方理事が丁寧に回答。ゾーニングによる安全確保や個人防護具の状況を説明したほか、▽責任の所在▽免責の範囲▽補償内容――などを示した。また、茂松会長は、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく補償に加え、「民間保険会社で上乗せ部分の補償を検討している」とし、「会員の命はしっかり守りたい」と主張。一致団結して大阪府民の健康を守るとの方針を伝えた。
 そのほか、同協議会では、連絡事項として「5月度行事・会合日程」「新型コロナウイルス感染症等による風評被害における人権擁護等」が挙げられ、栗山理事より詳細な説明がなされた。