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医師・医療関係者のみなさまへ

調査委員会だより No.66

府医ニュース

2020年5月6日 第2927号

在宅医療に取り組む診療所長は増えている
文 岩本 伸一(東成区)

 地域包括ケアシステム構築の一環として推進されている在宅医療について、令和2年1月に行った会員意見調査の結果を今回より数編にわたり報告する。第1回のテーマは「在宅医療に取り組む医師は実際増えているのか」である。
 在宅医療に取り組む診療所長(訪問診療もしくは往診)は58.3%と前回調査(平成28年、48.9%)より増加している。一方で病院長は横ばい、勤務医は減少傾向にある。同様に在宅療養支援診療所(機能強化型含む)の届出も前回調査(23.1%)より増加している(33.9%)が、在宅療養支援病院(機能強化型含む)と在宅療養後方支援病院の届け出は合わせても前回29.9%から今回16.0%と減少していた。
 在宅依頼の要望があった時の対応について、「他の診療所を紹介する」もしくは「断る」と回答した診療所長は前回35・0%であったが、今回は24・5%と減少していた。一方で病院長に対する同様の質問では、前回46.4%から今回44.0%とあまり変化はなかった。
 これらの結果は、「在宅医療が地域の医師の役割である」という理解と対応が増えてきた表れではないだろうか。前々回(25年)から前回(28年)にかけては決して増えているといえなかった診療所長の在宅医療への取り組みが、数年かけてようやく成果として出始めているのかもしれない。住み分けができてきたともとれる結果であった。裏付けるようにがん末期患者に対する緩和・終末期医療に取り組む診療所長、看取り件数も増加傾向にある中、大きな変化としては年間20件以上看取っている診療所がかなり増えていた。これは在宅専門クリニックの増加が要因であると推察される。