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年年歳歳

府医ニュース

2020年5月6日 第2927号

年年歳歳花相似
歳歳年年人不同 
(年々歳々、花相似たり 歳々年々、人同じからず)

 今年も桜が咲き、そして散りました。
 今年の桜の季節ほど、この唐詩の一節が思い起こされたことはありません。
 よく知られたフレーズですが、唐代の詩人、劉希夷(別名 廷芝 651年~679年)の「代悲白頭翁」(白頭を悲しむ翁に代わる)という長い詩の中の一節です。
 今年、満開の桜の下に宴会をする人々の姿はほとんどありませんでした。例年、観光客で満杯の桜クルーズの舟がひっきりなしに行き来していた天満橋の大川も、何艘もの舟が岸に停泊したままになっていました。
 今年、世界が新型コロナ禍に覆われて、こんな桜の季節を迎えるなど、去年の春に誰が予想できたでしょう。今、医療者は皆、それぞれの持ち場で苦悩しつつ、新型コロナと対峙しています。
 新型コロナの感染が今後どうなって行くのか、その経済的社会的影響も含め予測は困難です。来年の桜の季節に世界はどうなっているのでしょう。
 劉希夷の詩は人の世の無常を歌っています。世の無常は真理ではありますが、今はその感慨に浸っているよりも目の前の新型コロナと戦わなくてはなりません。来年は、皆で今年よりも穏やかな気持ちで花を見られるようになっていたいものです。
(註 原詩で言う花は桃と李の花のこと)(瞳)